写真:著者提供
ライフ 仏教

旅と遍路は、人を乙女にする

そして僕は四国遍路を巡る ②

サラリーマンだった主人公が突然お坊さんになる様子をユーモアある筆致で記したベストセラー書籍で、映画化もされた『ボクは坊さん。』。その著者にして、愛媛県今治市にある栄福寺の住職・白川密成さんの四国遍路巡りと、お坊さんとして過ごす日常をお送りする本連載。いよいよミッセイさんのお遍路巡りが始まります!

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「あきさん」の住職就任式から遍路をはじめる

平成29年6月4日。

遍路は突然、はじまった。

ずっと遍路に出たいと思っていたけれど、機会をつかめずにいたのだ。そんな時、同じ四国札所の僧侶で、若い頃から年上の先輩だけど友人としても慕っている、四国42番札所仏木寺(ぶつもくじ)の松本明慧(みょうけい)さんの住職就任式(晋山式、しんざんしき)が行われることになり、僕はその儀式と祝賀会の司会をすることになったのだ。

 

明慧さんを僕は、昔から「あきさん」と呼んでいる。長身に上品で美しい顔立ちと雰囲気、そして奇跡の独身(平成29年現在!)。高野山大学を卒業後、ロサンゼルスにある高野山米国別院にしばらく籍を置いていたあきさんは、僕の披露宴では華麗なDJプレイを決めてくださった。

そんなあきさんのことを、僕は人としてとても好きで、またどこか馬が合い、精神的に苦しい時には、ずいぶん助けて頂いた。だから人生に一度の住職就任式で司会をさせてもらえることが、とてもうれしかった。そして、「この流れで遍路、行ってしまうか」とふと思いついたのだった。四国遍路はなにも1番札所から始めるだけが唯一の方法ではない。思いついたら吉日、僕は遍路をはじめることにした。

仏木寺の晋山式は、愛媛県南部(宇和島市三間町)のあたたかい気候と雰囲気そのままに本当に気持ちのいい風が吹く、爽やかな儀式だった。戸を明け放れた趣深い古式の庫裏に僧侶たちが集まり、明慧新住職を囲む。

仏木寺の晋山式で。写真:著者提供

「お稚児(ちご)さん」の衣装を身につけた子供たちが、田んぼ(このあたりは美味しいお米の産地でもある。)の中を練り歩き、このお寺の本堂まで新しい住職をお連れする。

新住職を囲む、お稚児さんたち。写真:著者提供

そして司会は、僕。

司会をする著者ミッセイ(リハーサル中)。写真:著者提供

最高に忘れられない1日となった。