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誰もが羨む高学歴・高収入な「ハイスペック女子」が意外と病んでる件

ダイバーシティに散った徒花たち

「扶養者」を抱えるハイスペック女子

会社のメンタル医としてハイスペック女子に接していると、最近は女性でも夫を扶養していることが珍しくないことに気づいた。ことに、高収入のハイスペック女子の夫は働かなくなってしまいがちだ。

今までは、体調を崩した男性に扶養者の有無を聞いて、休職が可能かどうかを総合的に判断するというのが一般的なパターンだったが、今では女性に対しても扶養者があるか聞かなくてはならない。いわゆる「主夫」の存在が見過ごしできないほど社会に増えているからだ。

プライバシーを考慮して特定のケースではないように書くが、A子さん30歳は勤続7年。外資系企業で係長をしている。 既婚で子供1人。2ヵ月前に育休から復帰したばかりだ。

 

子供は1歳になったところで、子育てと仕事の両立で最も大変な時期だ。会社では育休明けの仕事のプレッシャーもあり、周囲の目が気になるようになった。帰宅後、疲れ果てた身体で家事をして、いざ寝ようとすると眠れず、不眠から体調不良を訴えてきた。

メンタルクリニックを受診したところ、休職を勧められる。だが会社での立場が悪くなるのではないかと不安で、休まずに仕事しようと考えていた。しかしその2週間後、ついに心身ともに不調が顕著となって休職せざるを得なくなってしまう。電話面談で私が様子を聞くと「自宅療養がむしろつらい」とA子さんは言うのだが、その理由は「夫からは『そのくらいで何でさぼるんだ』と責められる」からだという。

夫の仕事を聞くと、A子さんが妊娠中に夫は会社をクビになり、その後、就職活動をしていないようだ。A子さんの収入を当てにしているため、彼女の会社の休職中の手当てなど詳細に調べ、夫から人事にもしばしば手当支給を問い合わせる連絡が来ているらしい。このようなケースで自宅が療養環境としてふさわしいかは産業医として大いに疑問だが、以前では想像できなかった最近の傾向といえる。

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夫婦の収入の形が多様化していることを実感する。ただし、ある女性弁護士から忠告されたのだが、「離婚の際には、養ってあげた男性に財産分与することになるのを知らない女性が多すぎる」とのこと。

とくに30代以下の若い世代では、2人で稼いだ分は共有の口座に入れ、そこから2人の支出を出すのが一般的になっているようだ。男女平等で経済的に一体だと割り切った考え方をする女性が増えたものだと感心するのだが、たとえば家のローンを女性が払っているとすれば、いざとなれば財産分与することになるのは知っておくべきだ。

ハイスペック女子の側には1つ誤解があったことに気付く。つまり「養わねばならないような男性のつもりはなかったけど、そうなってしまった」ということが多いのだ。

実際、当事者の話を聞くと、働かない男性は元から「働かない人」だったわけではなく、A子さんの夫のように、いつの間にか仕事をしなくなってしまったパターンが多い。つまり、稼げる女性の下で「働かなくなった」ことが多いのだ。

そのため、当事者の女性も「こんなはずじゃなかった」という思いがある。主夫といっても、お手伝いをしてくれる程度でしかなく、いわゆる本当の専業主婦と同レベルの主夫は少ないようだ。そのような環境で、家計の担い手となっている妻が夫からモラハラ発言をされたときには、ふつうの主婦以上に耐えられない、という気持ちにもなって当然だろう。

このような様々な原因が重なって離婚問題へと至るのだが、前述した財産分与のことは知識としては知っておく必要がある。ところが、仕事に忙しくて夢中になっているハイスペック女子は自分の貯金に無頓着になりがちで、むしろ専業主婦のほうがより計画的にへそくりを作るようだ。いくら高収入だろうと、リスクを知ったうえで夫を扶養することも大切ではないだろうか。