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高収入旦那に子あり、NY帰り、美人でも彼女が喪失感に苛まれるワケ

A子ちゃんとB美ちゃんの複雑な感情③

元日本経済新聞記者にして元AV女優の作家・鈴木涼美さんが、現代社会を生きる女性たちのありとあらゆる対立構造を、「Aサイド」「Bサイド」の前後編で浮き彫りにしていく本連載。今回は、第2試合「学歴」対決のAサイド。名門私大在学中にキャバクラでバイト後、順風満帆に就職・結婚した勝ち組専業主婦の複雑な感情を紐解いていきます。

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『CanCam』を手放さず学業との両立を目指す

高学歴・高収入・高身長というモテ3Kを目指す男諸君にとっての学歴と、カワイイ・巨乳・若いでモテの8割が決まる女にとっての学歴は、当然のごとく意味合いが違う。

男だって別に今時東大卒ごときでモテるわけでもないだろうし、高校三年間で女慣れに磨きをかけずに勉強机に向かっていると色恋分野で大分遅れもとるだろうが、それでも同じ顔同じ性格であれば日大よりも慶應の方がモテるだろうし、少なくともたゆまぬ努力で積み重ねた学歴が男としてのスペックにマイナス要素としてケチをつけることはない。

対して女の方は、『CanCam』を教科書に持ち替えて、ランコムのマスカラをシャープペンシルに持ち替えて東大や慶應のネームがついたクレジットカードを手に入れたとして、別に学歴が高い方がモテるわけでもないし、場合によっては(というか男の好みによっては)東大女よりも聖心女子大の女の方がいい、と一蹴される。そしてカワイイ・巨乳・若いが何よりの価値だとすれば、うっかり手放した『CanCam』やランコムの代償はあまりに大きい。

 

賢い女は当然、『CanCam』を手放さずに睡眠時間かカラオケ女子会の時間でも削って両立を目指す。女子力を維持して学歴だけつけるぶんには、少なくともひたすら自分よりバカな女を選びたがる趣味の悪い男を除けば、モテを手放すことにはならないからだ。

「私のこと嫌いにならない? 正直、キャバクラでバイトしてても、お前らとは違うんだよって思っちゃうんだよね」

桜木町のバーミヤンで汁そばのようなものを食べながら、こっそりそう言っていた彼女は、横浜西口にある地元では有名なキャバクラで毎月売り上げが上位3人に入るほどしっかり仕事をする嬢だったのだが、彼女が「お前らと違う」と感じるのはキャバクラでの売り上げとは関係のない事柄についてだった。

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彼女は有名私立大の優秀な学生で、中国語と英語を流暢に話すことができ、その年の夏休みには上海への留学も決まっていた。クラスメイトの多くが国立大学を受験する超優秀な高校を卒業した彼女が迷わず私大受験を決めたのは、「学者になりたいわけじゃなくて、企業に勤めるつもりだし、それなら時間とか予備校の費用とかが無駄に嵩む東大じゃなくてもいい」という理由らしい。

3人兄弟の3番目で、全員を私立大に通わせる親を気遣い、また彼女自身の豪華趣味を満足させるため、大学入学と同時に実家から通いやすい横浜のキャバクラに入店した。