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野球 ライフ アメリカ

大リーグを象徴するあの食べ物が、日本のカフェに進出している!?

某チェーン店に行けば食べられる

いつものカフェで受けた衝撃

昨年のいま頃、九月なかば、午後六時三十分でもうこんなに暗いのかと思いながら、駅前の路線バス乗り場の脇を歩き、エスカレーターで大きな建物の二階へ上がり、チェーン店のカフェに入った。

注文カウンターの前に立ち、「本日のコーヒーをホットのショートで」と、いつもの決まり文句を合言葉のように述べると、「マグでお出ししてもよろしいでしょうか」と、おなじく謎の合言葉が返ってきた。それに対して僕は、「はい」とだけ答えた。

コーヒー・マシーンからマグに本日のコーヒーが満ちるまでの二十秒か三十秒、僕は注文カウンターの左右を眺めた。葉書の大きさの紙にサインペンの色を変えながら描いた何枚かのポップが、カウンターの左右のあちこちに貼ってあった。見るともなく僕はそれらを見た。書かれた文字には片仮名が多かった。

ほどなく日本語はすべて片仮名になるのではないか、などと思った僕の目を、ポップのなかのひと言がとらえた。ボールパークドッグ、とその片仮名は読めた。まさかと思いながら、もう一度、よく見た。ボールパークドッグ、とその片仮名は読めた。若い女性店員による、合言葉の仕上げのようなひと言とともに、僕はコーヒーの満ちたマグを受け取った。

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空いている席ならどこでもよかった。僕は窓辺のテーブルを前にして椅子にすわり、ボールパークドッグという片仮名日本語をたったいま目にした衝撃を熱いコーヒーとともに受けとめなおした。ボールパークドッグが、ときたま入るカフェで、おそらくとっくに、日本語になっていたのだ。ボールパークドッグ、ボールパークドッグと、その片仮名言葉は何度も僕の頭のなかを循環し、それをそのつど、熱いコーヒーが追った。

主としてビッグ・リーグの試合を見るため野球場へいった人が観客席にいると、そこへ売り子がホットドッグを売りに来る。ひとつ買い、野球の試合を見ながら、それを食べる。たいていの場合、そのようなホットドッグは美味で楽しめる。どこの球場でもホットドッグは自慢している。

このようなホットドッグを総称して、ボールパークドッグと呼んでいる。Ballpark dogと書けば、それはかならず通用するアメリカの日常語のひとつだ。