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医療・健康・食

虫歯だらけ…アメリカ初代大統領の「トホホ」なエピソード

お口のケアは定期的に!

歴史が変わってたかも?

突然口の中を襲うズキッという痛み。病院内に鳴り響くキュイーンというドリル音。誰にとっても歯痛はやっぱり嫌なもの。

京都からわざわざ高価な薬を取り寄せるほど重度の歯周病に罹っていた源頼朝しかり、虫歯の痛みをごまかすために数学の難問に挑戦したパスカルしかり、歴史上の偉人らも例外ではない。

 

“アメリカ合衆国建国の父”ジョージ・ワシントンも、そんな歯痛に悩まされた者の一人だ。ワシントンといえば、思い浮かぶのが1ドル紙幣の肖像画。だが、その口元をよく観察すると、なぜか歯をくいしばるような様が見て取れる。

それもそのはず、この肖像画が描かれた時、彼にはすでに歯が一本もなく、上下にはめた入れ歯が飛び出さないよう必死に堪えているからだ。

生まれつき、虫歯に悩まされ続けたワシントン。早くも22歳の時から歯が抜け始め、それ以降毎年、病院で抜歯するほどだったという。40代になると口内はますます深刻化。名だたる歯医者たちを大金を積んで雇い、部分入れ歯を使っていた。

米独立戦争で多大な功績を残したワシントンは1789年、米初代大統領に就任する。しかし、そこから亡くなるまでの10年間で、彼の歯の不快感はピークに達したという。

1796年に最後の天然歯であった下の小臼歯が抜け落ちると、いよいよ総入れ歯の状態に。その時、虫歯に代わって彼を苦しめたのは、入れ歯そのものの「質」だった。

その当時、西洋の入れ歯は現在のような上下別々の形ではなく、バネでつながっていた。このバネが鋼でできた強力なものだったため、常に強く噛みしめていないと、口から飛び出してしまうという欠点があった。

その不快感は公務にも影響することになる。徐々に歪んでいく容貌と滑舌の悪化を気にして、公衆の面前での演説はどんどん減っていったという。大統領として絶大な人気を誇りながら3期目の大統領選出馬を拒否し、表舞台から去ったのには、こんな理由があったのだ。

余談だが、ワシントンの大統領在任時、仏像彫刻による木彫技術が欧米より発達していた江戸時代の日本では、すでに現在の形に近い精巧な木製入れ歯が存在していた。もし彼が日本製の入れ歯を知っていたら―歴史が変わっていたかもしれない。(栗)

『週刊現代』2017年9月23・30日号より