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政治政策 ドイツ

自動車大国ドイツでまもなく「ディーゼル」が消える(かもしれない)

極端に振れる国だから

電気自動車ブームは突然やってくる?

なぜ、こうなってしまうのだろう。

ドイツでは近い将来、皆が先を争って電気自動車を買うようになるといったシナリオが、まことしやかに作り上げられている。ドイツの政治家には、脱原発、難民問題などに見られるように、極端から極端に振れる傾向がままあるのだが、今回もそれなのだろうか?

 

現在、ドイツで走っている車の3台に1台はディーゼル車だ(ちなみにEU全体でのディーゼル車の割合は53%、日本はわずか2%)。圧倒的な人気を誇っていたそのディーゼル車が、2年前の排ガス値改ざんスキャンダルの後、たちまち悪の権化になってしまった。とりわけ、スキャンダル震源地であるVW(フォルクスワーゲン)の信用失墜は激しい。国民も大いに失望した。

ところが、そのあとの展開がすごい。あれよ、あれよという間に、「ディーゼル車もガソリン車もダメ。これからは電気自動車だ!」という高らかな声があがり始めた。緑の党はとくに張り切っており、「(ディーゼルによる)大気汚染は、騙された消費者の健康や、環境に負担をかける(ホーフライター氏)」と、ディーゼル車をこの世から無くすことを切望している。

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張り切る政治家はSPDにも多い。7月末、ヘンドリクス環境大臣(SPD)はテレビカメラの前で、横に立ったVWの社長を、「経営ミス」、「信用失墜」、「馬鹿げた行為」という言葉で面罵したうえ、「電気自動車の普及は、ドイツもEUも遅れている。だから、割り当て制が必要」といい始めた。

これは簡単に言えば、政治の力によって、一定数の電気自動車を市場に強制的に押し込むことを意味する。まさに社会主義における計画経済の発想だ。

実はドイツの電気自動車礼賛は、今に始まったことではない。ドイツ政府は2009年、2020年までに100万台の電気自動車を普及させるという遠大な計画を立てた。最初から大きく疑問符のついた計画だった。

電気自動車は、休暇などで長距離を走る機会の多いドイツ人にとっては、走行距離に不安がある。しかも価格が高いため、普及は進まなかったのだが、ドイツ政府はなかなか計画を見直さず、2012年にはメルケル首相が、「まだ8年ある」と豪語していた。

無責任野党である緑の党の主張はさらに過激で、「目標100万台は生ぬるい、200万台にするべきだ!」。ちなみに、その時点で登録されていたドイツの電気自動車はたったの4500台だった。