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国際・外交 アメリカ 北朝鮮

「北朝鮮がどこにあるか知らない人が7割」アメリカのヒドい現実

ニューヨーク大教授の嘆息

互いに牽制をくり返す北朝鮮とアメリカ。北朝鮮への核攻撃も検討されているこの状況を、アメリカ国民はどう見ているのか。最近、『「招待所」という名の収容所〜北朝鮮による拉致の真実』を発表した、ニューヨーク大学のロバート・ボイントン教授に聞くと、非常に残念な実態が明らかに……。

「無知」と「確信」が共存する国民性

世界市民主義(コスモポリタニズム)を標榜する我々アメリカ国民だが、国境の向こうに広がる世界については、ほとんど何も知らない者ばかりだ。とりわけ、アジアのような遠く離れた場所のことについては。

今年5月、ニューヨーク・タイムズが行った調査によると、地図上で北朝鮮の位置を正しく示すことができたのは、回答者のわずか3分の1ほどだった(なかにはトルクメニスタンの位置に丸印をつけた者もいたそうだ)。

さらにダメ押しとも言えるのが、8月に放送された深夜のトーク番組。

ハリウッド中心街を歩いていた人たちに、司会者が「アメリカは北朝鮮に対して軍事行動を起こすべきか」と尋ねたところ、全員が「イエス」と回答。そしてその質問のすぐあと、地図上で北朝鮮の位置を指し示してもらったところ、誰一人として正解者はいなかった。知らない場所を空爆するのはたやすい、ということなのだろう。

 

このように、アメリカの最も残念な国民性の一つが、「無知」と「確信」を同時に受け入れてしまう能力である。その観点からすると、ドナルド・トランプは歴代大統領のなかで最もアメリカ(国民)的である、と言っていい。

彼は何も理解しようとしない。別の言い方をすれば、仕事を通じて学ぶということに一切の興味を持っていない。政策の専門家たちが言うことには耳を傾けず、自分の直感を何より頼りにしている。「私はとても頭がいい人間。私の第一のコンサルタントは自分なんだよ、生まれつきその才能があるんだね」などと、外交政策通ぶりを自慢げに語る。

トランプ大統領これだけ取り巻きがいても、全然話を聴かないとか…… photo by gettyimages

トランプにとって何より大事なのは、「勝つこと」と「取引すること」だ。しかし残念ながら、彼のビジネス上の成功はどれもこれも自分で言っているだけの話で、実際には、彼の会社は愚かにもそこに投資した人たちに大きな損害を与えている。それは、彼の会社が6度の破産を申請していることからも明らかだ。

トランプの大統領当選にがっかりさせられた人たちは、権力の集中や暴走を防ぐアメリカの堅牢な国家制度が、彼が国に決定的なダメージを与えるような事態は防いでくれるのではないか、という一縷の望みにすがろうとしている。

確かに、議会と裁判所のおかげで、これまでのところアメリカが破局を迎えるまでには至っていない。また、情け容赦のない立法や大統領令は、いつかトランプに続く大統領たち(とそこで新たに作られる法)によって改正されるのかもしれない。

ただ、国内はともかく、外交政策について言えば、話は別だ。

合衆国憲法は、国際問題に関して途方もない自由を大統領に与えている。とりわけ9.11(同時多発テロ)以降は、ホワイトハウスに驚くほどの軍事力が集中している。

そんな状況のなかで、トランプの朝のご機嫌斜めが、悪意に満ちたツイートではなく、核攻撃に向けられたとしたら、どうなるだろう? 我が国の誰かが果敢に立ち向かい、彼を止めようとするだろうか?