メディア・マスコミ 医療・健康・食

普通の人が「疑似科学」にダマされてしまう単純な理由

現状維持バイアスを理解しよう
石川 幹人 プロフィール

年齢で比較すると、現状維持バイアスは若者で小さく、年長者で大きい。若者は好奇心が強く挑戦的であるのに対し、年長者は経験にもとづいて保守的に対処しようとする。

この傾向は動物でも一緒である。これまでうまく生きのびてきたのだから、今後も同じようにやればよいだろう、異なるやり方をとっても将来はよくわからないのだから、という動物の行動原理である。

しかし、人類では事情が異なってきた。私たちは、社会集団で知恵を集積して、科学を発展させた。

その結果、将来がよくわかるようになったのだ。現状に固執するよりも、将来の予測にもとづいて行動を選択するほうが得策なのだ。古い動物的な直感は、すでに捨て去る時期に来ている。

 

このように現状維持バイアスは、政治や経営、動物学にまでに波及する重要な心理メカニズムである。多くの人がその仕組みを理解しておくと、より良好な社会が築けるだろう。

そして個々人が皆、自分の心理をうまくコントロールできるようになれば、万能理論をはじめとした疑似科学が蔓延しなくなるにちがいない。

新メディア「現代新書」OPEN!