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北朝鮮

金正恩氏の「海外資産」にだけは触れてはいけない

北朝鮮のレッドラインはここだと思う

資産家として見ると意外とシンプル

緊迫した状況が続いていた北朝鮮問題は、国連安保理決議が採択されたことで、ひとつのヤマ場を迎えつつある。

金正恩朝鮮労働党委員長は、金日成氏から3代続く世襲の独裁者だが、日本人は独裁者という存在について、実はあまりよく知らない。

日本社会はどの時代であっても、よく言えば利害調整型の政治であり、悪くいえば曖昧で玉虫色の政治だった。軍国主義の時代においても本当の意味での独裁者は存在しなかった。独裁者というものが何を考え、どう振る舞うものなのか、実はよく分かっていないのだ。

独裁者はたいていの場合、不当な手段によって得た莫大な資産を持っており、資産の維持管理は独裁体制と密接に関係している。

中央日報の報道によると、金正恩氏の海外資産は約30億〜50億ドル(約3300億〜5500億円)と言われている。

つまり独裁者というのは、資産家の持つ「悪い面」をすべて凝縮した人物であり、お金という視点で独裁者を分析すれば、その行動原理は意外とシンプルに理解できる。この話は当然のことながら金正恩氏にもあてはまる。

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錯乱してミサイルを撃っているわけではない

北朝鮮は1990年代に中距離弾道ミサイル「ノドン」(射程1300キロ程度)を開発、その後「テポドン1号」(射程2000キロ程度)や「ムスダン」(射程2500~4000キロ程度)の開発へと進み、とうとう大陸間弾道ミサイル(ICBM)「テポドン2号」(射程4000~6000キロ程度)の開発に成功した。

米国に到達できるICBMを完成させるのは時間の問題と言われており、同時並行で核実験も次々と成功させている。タテマエはともかくとして、北朝鮮は限りなく核保有国に近い立場を得たとみてよいだろう。

 

それにもかかわらず、北朝鮮はなぜミサイルを発射するという危険な挑発行為を繰り返すのだろうか。

日本人からするとこうした行為は狂気の沙汰であり、同国はいつ何をするか分からない危険極まりない国に映る。実際、その通りであり、同国のこうした行為は断じて容認できるものではない。

だが北朝鮮は決して錯乱した状態でミサイルを撃っているわけではないと筆者は考えている。北朝鮮がミサイルを何度も発射するのは、米国を交渉の場に引きずり出すことが目的であり、この行動パターンはノドンの時代から一貫しているからだ。

北朝鮮がリスクを冒してでも、米国との交渉を望むことには理由があるが、そのヒントは安保理決議の中に見出すことができる。