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日本人の深刻すぎる「セックスレス」をデータで検証する

これでは子供が増えるわけがない
吉村 泰典

2013年の総務省による労働力調査によれば、例えば30代前半で正規雇用についている男性の未婚率がおよそ4割なのに対して、同じく30代前半の非正規雇用者男性の未婚率はおよそ7割と、正規・非正規の間で大きな差がついています

一方、女性はその逆です。同じく30代前半だと、非正規雇用者のほうが未婚率が低く、正規雇用者はおよそ半数が未婚となっています。簡単に言えば、男性の場合は非正規雇用者が、女性の場合は正規雇用者がそれぞれ結婚しにくいという現状があるわけです。

これも統計から読み取れる事実ですが、実は日本のカップルは、結婚さえすれば平均して2人くらいは子供を産んでいるのです(これを完結出生児数といい、2015年の国立社会保障・人口問題研究所による調査では1.94人でした)。逆に言うと、日本人は「結婚しないと子供を産まない」国民ということですから、未婚者が増えること、しかも男女いびつな形で増えることは大きな問題です。

 

「生殖」から目を背ける日本人

「女性の社会進出が進んだから、出生率が下がった」という見方がありますが、海外では女性の労働力が高い国ほど出生率も高いということは、ご存知の方も多いでしょう。

そうした国、例えばスウェーデンなどでは、女性が働きながら子育てができる環境が整っています。またフランスでは、結婚していないカップルが子供を持つことも珍しくありません。日本でも、夫婦別姓をもっと普及させたり、婚外子に対する世の中の見方を変えていかなければならないと思います。

ちなみに、ヨーロッパで日本と同様、少子化に苦しんでいるのがイタリアとドイツです。ここに日本を加えると、嫌でも「三国同盟」という言葉が頭をよぎってしまいますが、イタリアとドイツは家族観や社会観も日本と似ているところがあります。

他にも、アジアでは香港(2015年の合計特殊出生率1.20)や台湾(同じく1.18)など、日本以上に少子化が進んでいる国もあります。

スウェーデンやフランスのように、少子化対策が功を奏している国と、日本のように少子化へ突き進む国は、どこが最も違うのか。私は、「子供を産むか産まないかは、女性の権利である」という意識があるかどうかだと思います。

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極端な例ですが、例えば胎児に何らかの重い先天的障害があった場合、日本では22週を超えると人工妊娠中絶を受けられません。しかし、例えば出生率1.8を保っているイギリスでは、妊娠何週であろうと、女性の意思で中絶を受けることができます。

これがなぜイギリスでは問題視されないかというと、逆説的ではありますが、障害のある人が人生を十分に楽しんで暮らせるような社会的ケアの体制が構築されているからではないかと思います。つまり先天的障害のある人であっても、社会の中できちんとその地位が認められ、位置付けられているということです。

日本では、出生前診断で胎児に先天的異常が見つかった場合、95%以上のカップルが中絶を選ぶという実情があります。

しかし、日本の母体保護法には「胎児条項」、つまり「胎児に何らかの異常が見つかった場合、人工妊娠中絶を受けても構わない」ということを定めた条文はありません。法的な裏付けがないにもかかわらず、胎児に障害があった場合には、日常的に中絶が行われているのが実情なのです。

「生殖の自立」は、海外では大統領選挙や国政選挙の争点にもなる大きな問題です。しかし、日本人はそこから目を背け続けていると言わざるをえません。