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アメリカは北朝鮮の「先制攻撃」を、いまかいまかと待っている

国連安保理の制裁決議で起こること

北朝鮮、国連脱退の可能性

北朝鮮が9月3日に6回目の核実験を強行したことで、アメリカは6日、国連安保理に新たな制裁案を提出した。今回は、中国にもロシアにも根回しすることなく、いきなり安保理に決議を促した。

このトランプ政権の突飛な行動には驚いたが、これは12日から、年に一度の国連総会が始まるということで、もはや中ロに根回ししているヒマはないと判断したのだろう。

 

だがそれにしても、その制裁案の中身にはさらに驚いた。アメリカ案は次の4点を強調していた。

(1)北朝鮮に対する石油の輸出禁止
(2)金正恩委員長、北朝鮮指導部の海外資産凍結
(3)北朝鮮の海外派遣労働者の雇用禁止
(4)北朝鮮からの繊維品の輸入禁止

(※アメリカはその後、制裁に慎重な中ロの同意を得るための妥協案を出し、石油に関しては「輸出を制限する」との内容にとどめ、また海外資産凍結の対象からは金正恩委員長を除外した)

もし、この制裁案がすべて国連安保理で可決されたなら、北朝鮮は即座に、国連から脱退するだろう。

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思えば日本も1933年、国連の前身である国際連盟を脱退した。満州国を国際社会で認めてもらえなかったため、ブチ切れて脱退したのだ。そして国際的に孤立していき、その8年後に真珠湾を奇襲攻撃してアメリカと戦争になった。

1945年に国際連合が発足して以降、国連を脱退した国は、1965年のインドネシアしかない。インドネシアは、その2年前に建国したマレーシアを承認せず、マレーシアが国連安保理の非常任理事国になったことで、スカルノ政権が怒りにまかせて、国連に絶縁状を叩きつけたのだ。

だが、すぐに国際的に孤立し、スカルノ政権自体が崩壊してしまった。後を継いだスハルト政権は翌1966年に、国連に再加盟した。

こうした前例を見ると、北朝鮮もまた、1991年に韓国と同時加盟した国連を脱退した場合、いま以上に国際的に孤立するのは確実だ。

もしかしたら近未来に、北朝鮮は本当に国連から脱退してしまうかもしれない。すでにNPT(核不拡散条約)に関しては、2003年に脱退を表明している。

今回も11日、北朝鮮外務省が、怒りに満ちた声明を発表した。

「アメリカが国連安保理で、史上最悪の制裁決議をでっち上げようとしている。われわれはいかなる最終手段をも辞さない準備ができている」

だが今回のところは、国連脱退には至らないだろう。この制裁案が日本時間の12日に、そのまま可決される見込みは薄いからだ。ロシアと中国、もしくはそのうちの1ヵ国(特にロシア)が、拒否権を発動するに違いない。

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もしかしたら、決議案を(4)だけに絞り込めば、日本時間12日に国連安保理を通過する可能性もある。