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葬式ビジネスに染まった僧侶が、無欲の「ロボ導師」に置き換わる日

私たちの死を葬祭業者に委ねていいのか

「ロボット僧侶」が葬式をあげる時代

さまざまな分野にロボットが進出している。今度は、「ロボット導師」なるものがあらわれた。ソフトバンクの家庭用ロボット「Pepper(ペッパー)」が、袈裟をまとって僧侶となり、読経してくれるというものだ。木魚を叩きながらお経を読んでくれるだけではなく、説教までしてくれるらしい。

 

ロボット導師を開発したのは、プラスチック製品の開発販売を本業とする「ニッセイエコ」という会社。8月下旬、東京ビッグサイトで開かれた終活産業の展示会「エンディング産業展 2017」に登場した。Pepperはもともと髪がない坊主頭なので、その点ではかなりさまになっている。

葬儀をはじめ、法事法要、戒名授与の場面で、依頼する側の宗旨にしたがって、それぞれの宗派にふさわしいお経を読んでくれる。ただ、人間の住職も付き添っていて、Pepperは副住職と位置づけられている。

ロボット導師の貸し出し料金は、1泊2日で5万円程度とのこと。他に布施は要らないというから、人間の僧侶を呼ぶよりも安いかもしれない。

ロボット導師というと、録音したお経をそのまま流すだけと思われがちだが、動画投稿サイトYouTubeには、「般若心経」を読む訓練をしているPepperの動画がアップされており、それなりの訓練を受けているようだ。

人間がお経を読むにも訓練が必要で、それこそが僧侶としての修行である。Pepperも導師として振る舞えるよう、それなりの修行を経ているわけだ。

はたして、これからロボット導師が実際に葬式や法事の場面に登場することになるのかどうか、それは未知数だ。ニッセイエコでは、このほかに、芳名帳への記入をIT化した「電子芳名帳」、葬式をインターネットを介してライブ配信する「ネット葬儀サービス」、祭壇を選ぶ際にシミュレーションができる「アバター祭壇」なども提案している。

葬式に、最新のIT技術を導入し、新たなビジネスを生もうというわけだ。

ドライブスルー葬が有望なわけ

もう一つ、葬式のIT化で注目されるのが、「ドライブスルー葬」である。

すでに2年前に特許が出願されたという話は、当時私も聞いて、取材も受けた。そしてついに今年、ドライブスルー葬が可能な葬儀場が長野県上田市にオープンする。「上田南愛昇殿」である。

ファストフード店のドライブスルーと同じように、クルマを降りることなく葬式に参列できる。参列者は1台ずつ専用レーンを進んでいき、受付台に備えられているタブレットの端末を通じて名前や住所を登録する。香典もそこで渡す。

焼香ボタンを押すと、焼香したことになる。その様子は、カメラで撮影され、場内の遺影の横にあるスクリーンに映し出される。

いったい何でそんなシステムが必要なのかと思われるだろう。その理由の一つは、たとえば、葬式の参列者の中に、普段車椅子で生活している高齢者が増えたことだ。車から降りる苦労なく葬儀に参列できるのはありがたいことだろう。

この葬儀場を作った葬祭業者は、遺族の側は誰が参列したのか、参列していないのかを覚えており、たとえ車の中からでも焼香できれば、不義理をしたと感じる必要はないと語っている。

ドライブスルー葬は、高齢化社会が生んだ新たな葬式の形であり、実際にどういう形で運営され、どの程度の利用者がいるのか、注目されるところである。

とくに地方は、どこへ行くにも車が使われ、葬祭会館も必ず広い駐車場を用意している。その延長線上にドライブスルー葬が生まれたと考えれば、決して奇抜な発想ではない。