北朝鮮

北朝鮮危機回避の最後の外交手段?「核シェアリング」とは何か

いまこそ議論の時だ
髙橋 洋一 プロフィール

具体的には、ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコで行われている。それぞれの国で、クライネ・ブローゲル空軍基地(ベルギー)、ビューヒェル空軍基地(ドイツ)、アヴィアーノ空軍基地(イタリア)、ゲーディ空軍基地(イタリア)、フォルケル空軍基地(オランダ)、インジルリク空軍基地(トルコ)に、戦術核兵器が持ちこまれている。

「核拡散防止条約上の抜け穴」と批判されているうえ、オバマ前米大統領がプラハで核廃絶の演説を行った後には、核シェアリングの解消を求める運動も起こった。アメリカの核をもっていることで、アメリカの核戦略(戦争)に巻き込まれるという批判もある。

確かに一理あり、核シェアリングを「時代遅れ」と批判するのは簡単だ。しかし、今の北朝鮮はかつての「神州不滅、鬼畜米英」と唱えていた国と同じで、何をしでかすかわからない状態だ。今の極東の北朝鮮を巡る動きは、かつてヨーロッパに対してソ連の核脅威があった以上に、危険があるといわざるを得ない。

 

しかも、かつてのソ連の核の脅威に対して、核シェアリングは結果としてソ連の核攻撃を抑止した。その意味で核シェアリングは有効だったのだ。いまの危機下において、可能性のある選択肢としてこの議論を持ちだしてもいいだろう。

なにしろ、核保有論の最大の弱点である核拡散防止条約の問題について、核シェアリング論は、現実に実践されているという意味でも一応クリアしているからだ。

韓国でも議論は起きている

こうした議論の必要性は、韓国の動きを見てもわかる。

9月3日、6回目の核実験など北朝鮮の挑発があった後、世論調査会社・韓国ギャラップが、「韓国も核兵器を保有しなければならないと思うか」とする主張に対し、回答者の60%が「賛成」、35%が「反対」の意思を示した事が明らかになった。

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年齢別にみると、20代は57%が核兵器の保有に反対しており、30代と40代は賛否の差が10ポイント以内と拮抗した。50代以上は約80%が賛成だった。

今回の北朝鮮の核実験が朝鮮半島の平和に及ぼす脅威の程度については、「非常に脅威」が54%、「やや脅威」が22%など、全体の76%が脅威と認識し、「あまり脅威ではない」は15%、「全く脅威ではない」は5%。4%は意見を留保した。

もっとも、北朝鮮による戦争挑発の可能性には、「非常にある」が13%、「ややある」が24%など、37%が「可能性がある」と答え、「あまりない」が36%、「全くない」が22%。半数以上の韓国国民は、戦争の可能性がないと考えているようだが。

こうした世論調査の読み方は慎重に行わなければいけないが、最後の戦争の可能性については、願望というところが大きいと思う。つまり、戦争はしたくないが、核保有はやむを得ない、というリアリズム的な思考で考えている人が韓国には多いのだろう。