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「27時間テレビ」フジは生放送を捨てて正解だった

今年は意外と好評、その理由は…?
前川 ヤスタカ プロフィール
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歴史バラエティといえば、かつてテレビ神奈川を中心に各地のUHF局で放送された深夜番組「戦国鍋TV〜なんとなく歴史が学べる映像」という名作番組があります。

低予算ながら、同番組では「戦国武将がよく来るキャバクラ」にマイナーであまり知られていない武将が出てきたり、天正少年遣欧使節や浅井三姉妹などがジャニーズ風やPerfume風の曲で歌い踊るなど、歴史に深く踏み込んで遊ぼうという気概が大いにありました。そしてそれは、歴史に興味がない人でも十分面白く、むしろ興味をわかせるものでした。

今回の27時間テレビは、全般的に歴史のごくごく浅いところをなでることに終始しており、例えば「ホンマでっか!?TV」では、奈良時代の歴史だけでは番組が成立しなかったのか、奈良市がなぜ地味なのか、歴史と数学どっちが役に立つのか、恋人の恋愛の歴史を知りたいかなど、脱線。

 

「歴史」というテーマを選んでいるのに、多くのコーナーでそれで遊ぶことを放棄しているような番組作りは、いかがなものかと思いました。

「そんなにマニアックじゃないんで興味がない人も大丈夫です〜」ではなく、興味がない人も「おもしろそう」と見てしまうくらい、しっかりと歴史に踏み込むべきですし、「いや、わたし歴史知らないんで〜」と逃げる芸人ばかりを出演させるのではなく、なんでそんなに歴史知ってるの? という芸能人が混ざっていてもよかったはずです。

歴史に興味のない視聴者に終始媚びるくらいなら、最初からこのテーマにしなければよかったのです。正直、腹が据わっていないなあと感じました。

Photo by GettyImages

人選は「吉」

それでも今回総じて面白かったと言えた大きい要因は、バカリズムが影の中心となっていたことだと思います。

脚本を担当した2本のドラマはいずれもバカリズムらしさ全開の会話劇で、「僕の金ヶ崎」では日曜午前の時間帯にあわせ、ラストは特撮っぽく変身するなど、遊び心も十分にありました。

コーナーとコーナーをつなぐいわゆるブリッジ部分では、得意のフリップ芸で歴史に関する素朴な疑問(関ヶ原の10万人vs7万人、後ろの方、暇じゃない? など)を展開。だれがちな進行をしっかりと引き締める役割を担っていました。

司会コンビもすばらしかったと思います。司会進行能力はピカイチながら一人で番組を背負うにはまだ軽さの残る村上信五、番組に重みを与えることができるものの近年は話がまわりくどく進行の妨げとなりがちなビートたけし。

それぞれ単独では27時間を御しきれなかったかもしれませんが、お互いの欠点を補完しあうコンビネーションがよく機能していたと思います。

恒例の新人アナ提供読みまで録画に変更し、これまでのフジ27時間らしさを思いっきり捨てて挑んだ今回。生放送ではなかったため、ネットニュースにあがるほどのハプニングは起きず、視聴率などの結果もどうなるかわかりません。

ただ、せっかく「祭り」を捨て「博物館」を選んだのですから、結果にかかわらず数回はこの路線で試してみてほしい気がします。試してすぐやめてしまっては何も育ちません。

博物館として選べるテーマはいくらでもあります。世界地理でも、科学でも、生き物でも、がんばって面白くすることはできるでしょうし、アニメのような文化の1分野にフォーカスしたってよいと思います。少なくともワンテーマ路線でもう1回は見てみたい、そういう期待感は抱かせるフジ27時間テレビでした。

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