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「27時間テレビ」フジは生放送を捨てて正解だった

今年は意外と好評、その理由は…?
前川 ヤスタカ プロフィール

生放送をやめてよかった

まず原則として生放送ではなく、ほとんどが収録となったこと。そして、30年間常に軸となっていた「笑い」を捨て「歴史」というカタいテーマを軸としたことです。

生放送メインをやめたことは結果的に正解だったと思います。

そもそも現代のバラエティ番組はほぼ全てが収録です。生放送なのは、速報性が必要な報道番組、情報番組、スポーツ中継だけです。

「いいとも!」が毎日やっていた時代と違い、字幕スーパーが出るのが当たり前で、無駄なところはカットされているバラエティに慣れた視聴者にとって、生放送はことさらにぐだぐだとした印象を与えてしまいます。

 

とくに地方のネット局との交流パートは毎年むごいことになるのが恒例で、それが大幅にカットされただけでもかなりすっきりし、ストレスをほとんど感じることなく見ることができました。

もちろん、かつての笑福亭鶴瓶開チン事件や昨年の明石家さんまのSMAPへの突っ込んだ発言など、生放送ならではのハプニングもフジ27時間の名物と言えます。今回、スムーズに進行できたことと引き換えに「何が起こるかわからない楽しみ」が削がれてしまったのは仕方のないことかと思います。

フジ27時間のセットは歴史博物館でしたが、そこにいけばこれが見られるとわかっている「博物館」と、みんながハイテンションになって何が起こるかわからない「お祭り」では、最初から見る側の楽しみ方は違います。

今回、例年通りのお祭りを期待した視聴者にとっては、不満は残ったかもしれません。しかし、フジの選択は、ホームランでなくとも、確実にヒットを狙いに行く戦法ですから、最初からそういうものとして見れば、割とよくまとまっていたと思います。

もっと踏み込めば…

また、今回テーマをはっきりさせたこともプラスだったと思います。

従来の「夢列島」「みんなのうた」といったテーマは抽象的でさほど意味のないものでした。テーマが曖昧だと、長時間やり続ける通し企画も、ときにはドミノ、ときにはクイズ、ときにはマラソンと無理矢理感がただようものばかりになります。

今回は、はっきりとしたテーマを設定したことで、番組に軸ができ、無理に通し企画をやらなくとも、視聴者にもわかりやすく伝わったという効果があったのではないかと思います。

一方で、はっきりとしたテーマにすればするほど、それに興味のない人は見ないという結果になるのもまた仕方ないことです。テーマを決めるのなら、興味ない人は切り捨てるくらいの気持ちでやるべきなのに、正直全体的に割り切りが甘かったように思います。

いくつかのコーナーでいきなり冒頭から「歴史に興味のない人でも楽しめるコーナーです」「歴史をあんまり知らなくても大丈夫ですよー」と言われてしまうと、なんのためのテーマなのと思ってしまいます。

このずっと漂い続ける、割り切れていない空気からか、総じて歴史への踏み込みの甘さも感じました。