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今秋の金融市場を左右する「ECBの決定」その行方

金融リスクは地政学だけじゃない

本年4月からECBは月当たりの国債買い入れ額を減額し、テーパリング(量的緩和策の段階的な縮小)が開始された。これは、ECBの金融緩和策が限界に達したことを意味する。その上で、今後、どのようにECBがテーパリングを進めるかに関する観測が高まっている。これを受けて、外国為替相場ではドルや円に対してユーロが堅調だ。

本年末、ECBが運営している現行の量的緩和策は期限を迎える。期限を延長しつつ買い入れ額を減らすなど様々な金融引き締めの方策が考えられる。ドイツを中心にユーロ圏の景気は堅調であり、不動産市場は過熱感を帯びている。ECBにとってこの状況は政策の正常化を進めるチャンスであると同時に、バブル退治が必要な状況ともいえる。

さらなるテーパリングに踏み切るか

現状のユーロ圏の金融政策に関する基本認識として、ECBは政策の限界を迎えていると考えられる。追加的な金融緩和の余地は乏しい。物価の上昇が緩慢であるため、一段のテーパリングは進みづらいのではないかとの見方はある。しかし、リーマンショック後の回復の中でユーロ圏全体の景気は絶頂期を迎えたといってもよい状況にある。

総合的に考えると金融政策が引き締められる可能性は相応にあると考えるべきだろう。4月下旬以降、外国為替相場では先々の金融引き締めを見越してユーロの買い戻しが進んできた。すでに、ユーロの対ドル為替レートは2015年3月にECBが量的緩和策を導入した以前の水準にまで上昇している。

この動きにはやや行き過ぎの部分もあるだろう。足元では追加利上げ予想の低下からドルが軟調であるため、ユーロは買われやすい。5月にユーロの買い越しに転じた後、大手金融機関のディーラーなどのユーロのポジション(持ち高)は、7月以降頭打ちだ。当面、テーパリングに関する新しい情報が出ると、ユーロが一段と上昇する余地はあるだろう。

実際にテーパリングが進み始めると、市場参加者はその後の展開を見極めるために様子見姿勢をとるだろう。その場合、ユーロの買い持ち=ロング・ポジションの増加は抑えられるだろう。このように考えると、今回のユーロの上げ相場は金融引き締めへの期待で買い、ECBの政策決定という事実を受けて売るという展開を辿る可能性がある。