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不倫には厳しいのに、暴力は許す「この国の大人の恥ずべき感覚」

山尾志桜里と日野皓正のあいだ
原田 隆之 プロフィール

暴力との戦いの歴史

アメリカの心理学者スティーブン・ピンカーはその著『暴力の歴史』の中で、有史以来の暴力の変遷を丹念に分析し、現代は「世界人権宣言」(1948年)以降、暴力根絶に向けての「権利革命」の時代であると述べている。

1990年には「子どもの権利条約」が発効し、そこでは、子どもも大人と同様の人権があると謳われている。

こうした革命のなかで積み上げられてきた「暴力は絶対に許さない」という価値観や社会的な規範は、きわめて貴重なものであり、人類が長年の暴力の歴史への反省とともに到達した宝である。

少々の暴力なら許される、愛があれば許されるなどと限定的に許していたのでは、次第にその境目が曖昧になるばかりである。

 

日本人はとかく大勢を占める意見に流されやすく、誰かが声高に不倫を糾弾すれば、右も左もの大合唱になる。

少しくらいの暴力はいいじゃないかと大勢が言えば、それに追随し容認しているうちに、いつしか指導に名を借りた子どもへの暴力や体罰が許される時代に後戻りし、暴力への不寛容という病が拡大するのを恐れる。

不倫に対してこれだけ不寛容になるモラルとパワーがあれば、それを暴力にこそ向けてほしい。われわれはもっともっと、暴力に対して例外を許さないほどの不寛容になるべきであると思う。