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「北朝鮮危機」日本が全外交力を投入して実現すべき一つのこと

いまこそ、ガラパゴス平和論をこえて

「異次元制裁」の必要性

ロシアのウラジオストックで9月6・7日に開催された東方経済フォーラムに参加した安倍首相は、各国首脳と会談し、北朝鮮問題についても話し合った。

特に韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領とは、国連安保理での新たな制裁決議の採択に向けた連携を確認し、「これまでとは異次元の制裁を課すべきだ」と発言したという。

「異次元の制裁」が具体的に何を意味しているのかは、もちろんわからない。あるいは強い口調でいきり立っているだけなのかもしれない。だが北朝鮮の核開発が新しい実用可能段階に入った今、まさに「異次元の制裁」が求められていることは間違いない。

「異次元の制裁」という言葉を、安倍首相が思いついたのか、周囲の助言者の思考の中で生まれたものなのかも、よく知らない。

東方経済フォーラムに参加した安倍首相〔PHOTO〕gettyimages

しかし的を射た表現である。今までとは、次元の違う制裁が、求められている。単に求められているだけではない。そこにこそ現在の危機がどう展開していくのかを見定めるための決定的なポイントがある。

「異次元制裁」が成功するかどうかは、わからない。しかし今、外交努力の全てを投入して実現を目指すべきは、「異次元制裁」である。

「異次元制裁」は、日本国内では、警戒心を持って受け止められるかもしれない。依然として日本の言論界では根強い、ガラパゴス平和主義として反省されている論調では、どう扱われるのだろうか。

 

私は国際政治学者だが、専門は「平和構築論」で、大学の専門科目では「紛争解決論」という授業を担当している。単に紛争解決論の学術的理論を紹介したり、紛争の事例を見てみたりするだけでなく、日常生活や時事問題などを、紛争(問題)を解決する、という視点で見る姿勢を養わせることが、授業の目的だ。

本稿では、なぜ異次元制裁が必要なのか、ということを、「紛争解決論」の分析的な視点で、考えてみたい。そしてそれを通じて、日本のガラパゴス主義者の議論では稀薄だが、海外では当然であるような外交政策の考え方の筋道を示してみたい。

つまり、日本の言説では、国際的には標準的な「紛争解決」の視点が不足していることを論じてみたい。