企業・経営 経済・財政 週刊現代

すべて実名!ニッポンのために金を使う「志の高いカネ持ち」80人

バンバン使う、それが正解だ 
週刊現代 プロフィール

オーナー社長だからできること

ビジネスで大儲けすることよりも、成功の先にある社会貢献に人生と莫大な富を賭す。これがオーナー経営者とサラリーマン社長との決定的な差だ。

いくら優秀な経営者でも、雇われである以上、会社の利益を本業以外につぎ込むことは株主の手前許されないからだ。

早稲田大学ビジネススクール准教授の入山章栄氏が解説する。

「もちろん、社会貢献活動は様々な企業が行っています。とはいえ、オーナー企業のほうがやりやすいのは事実でしょう。

オーナー企業では数年で社長が交代することはありませんので、経営者は長期的な視点を持って経営判断を下しやすい。2~3年後の業績よりも30~40年後も会社が栄えていてほしいという観点から経営を考えます。

そうすると、数十年先の世の中を考え、現在の社会問題が解決されないとマーケットが拡大されないという考え方にもなる。逆に言えば、貧困問題が解決されて豊かになったら、自社製品が売れるかもしれないという発想になるんです」

 

2位には、日本電産会長兼社長の永守重信氏の名前が挙がった。

入山氏が続ける。

「今年3月には京都学園大学の工学部新設のために、100億円以上も寄付しています。もちろん業績も絶好調。『全部使ってあの世に行く』と発言している通り、全資産を社会のために使うという考え方なのでしょう」

実際、永守氏本人は昨年、本誌のインタビューにこう語っている。

「財産はたしかに作りましたが、おカネには興味ありません。これまでのように医療施設などに寄付を続けていきたいですし、若い研究者は資金がないので、そういうものに助成もしていきたいですね。私自身には車一台と、住む家が一軒あれば充分ですよ」

3位に名を連ねたのは、ベネッセホールディングス名誉顧問の福武總一郎氏(71歳)。父親から福武書店を引き継ぎ、ベネッセコーポレーションとして急成長させた中興の祖だ。企業メセナにも熱心で、芸術活動を手厚く支援してきた。

「日本の政治に不満を持ち、ニュージーランドに移住してしまいましたが、日本社会への恩返しは忘れていません。とくに地方での美術館づくりに熱心で、ふるさと納税の旗振り役も買って出ています。

福武さんといえば、瀬戸内海でのアート活動の支援が有名ですが、教育にも熱心で、東京大学にも16億5000万円を寄付し、『情報学環・福武ホール』が本郷キャンパスに建設されています」(S&Sインベストメンツ代表・岡村聡氏)

Photo by iStock

作家の楡周平氏は、カプコン会長の辻本憲三氏(76歳)を高く評価する。

「辻本さんは夜間高校を卒業後、駄菓子屋を開業したのが事業のスタートです。綿菓子の機械に子供が列をなす姿を見て、自ら綿菓子製造機の行商を始めました。

その後、スペースインベーダーのレンタル業で財を成し、ゲーム開発の道に入ります。面白くないものを作ったら終わりだと考えていて、もの作りへの姿勢が一貫しています。

その姿勢は'90年代から米カリフォルニアで取り組んでいるワイナリー事業でも同じです。個人資産を100億円以上注ぎ込んで、土壌を入れ替えることもしました。その後、最高峰のワイン醸造家を招いて、最高品質のワインができた。

それをワイン醸造家が驚くほどの低価格で提供しています。辻本さんにしてみれば、いくら最高の品質でも人々の手が出なければ意味がないのです。最高のものを作りつつ、価格を抑える。辻本さんの凄さはこの両立を実現していることでしょう」