企業・経営 経済・財政 週刊現代

すべて実名!ニッポンのために金を使う「志の高いカネ持ち」80人

バンバン使う、それが正解だ 
週刊現代 プロフィール

人口減少はチャンスだ

カネ儲けをして贅沢な暮らしをしたい――そう思ってビジネスに成功したところで、所詮「成り上がり」にすぎない。社会をより良くするために事業を行い、成功し、築いた富を惜しみなく世の中のために使う人が「志の高いカネ持ち」だ。

本誌は識者16名に取材を行い、有名無名を問わず、ベスト80名を選出した。その結果、1位に輝いたのが、家具チェーン店「ニトリ」を展開するニトリホールディングス会長の似鳥昭雄氏(73歳)である。似鳥氏本人がこう述懐する。

「60歳まで本業で精一杯でした。『世のため人のため』になる会社、そしてそれを成し遂げる人材を作ることが社会貢献の第一歩と思い、人材育成に力を注いできました。しかし、還暦を過ぎてからは広く社会に還元しようと決めていたのです。

まずは私が保有する400万株を似鳥国際奨学財団に寄付して、配当金をアジアの学生への奨学金に充ててきました。我が社がここまで大きくなったのも、アジアの方に製品を作ってもらったから。その恩返しをしたいと思ったのです。

年間の配当金が4億円程度になったので、昨年から日本人の学生にも奨学金を支給しています。OB・OGが交流して、いずれアジアの架け橋となるような人物が生まれるとうれしいですね」

Photo by iStock

似鳥氏の社会貢献活動は、これだけに留まらない。東日本大震災では総額29億円を寄付した他、地元・北海道のためには「ニトリ北海道応援基金」を作り、年間1億円を拠出する。財政難に喘ぐ夕張市には企業版ふるさと納税で、4年間で5億円の寄付を決めた。

今年9月にはニトリが運営する小樽芸術村に似鳥美術館を新たにオープンさせ、所蔵する横山大観や岸田劉生などの絵画を展示する。似鳥氏が続ける。

「日本には『本物』を見られるところが少ない。だから若い人に気軽に見てもらおうと、中学生までは入館無料にしています。

事業も社会貢献も、やるからには一番になりたいですね。美術館も毎年一つくらい作りたいくらいです。こんなことを言うと、会社の人間には止められるのですが(笑)、構いません。

カネは死んでもあの世に持っていけないから、生きているうちに使いたい。北海道での活動が多いのは、自分をここまで大きくしてくれたことへの恩返しです」

 

もちろん、カネ持ちの道楽ではない。経営者としての似鳥氏は'03年に作成したビジョン通りに会社を成長させ、30年連続増収増益を達成した。

創業50年の今年には節目となる500店舗出店に到達する見通しだ。さらに今後5年間で1000店舗を目指す。

「日本は人口が減っていくし、少子高齢化で社会に閉塞感があると言われています。

しかし、いつの時代も社会は問題を抱えているんです。そして、問題の背後にはチャンスが隠れている。ニトリは主婦の不平や不満、不便を探して、それを便利に変えていくことでここまで成長してきました。

生活上にある問題を見つけて、それを解決する方法を考えれば、チャンスは誰にでもある。ビジネスも社会貢献も、考えていることは同じですね。

日本人の暮らしを欧米並みに豊かなものにしたいという思いから始めたニトリですが、これからのメインは中国になるでしょう。

中国の人口は14億人ですから、単純計算で日本の10倍の店舗を構えられる。中国で徹底的にビジネスを拡大させて、それをまた社会に広く還元したいですね」