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日経平均株価に現れない「小型株の上昇」が意味するもの

いま最も有効な投資戦略を検証する

小型株優位の理由

これまで、日本の株式市場の全体的な傾向は、日経平均株価とかTOPIX(東証株価指数)といった「マーケット・インデックス(市場平均)」をみれば事足りることが多かった。だが、最近は、日経平均株価やTOPIXが必ずしも日本の株式市場全体の状況を反映しているとはいえない状況にある。

その代表例が、「小型株の優位」である。

「小型株」とは、時価総額が低く、流動性の低い(市場での取引量が相対的に少なく、売買が容易でない場合がある)銘柄を指す。

小型株は、日経平均株価やTOPIXの構成銘柄ではない銘柄が多いので、小型株が大きく上昇していても、必ずしも「マーケット・インデックス」に反映される訳ではない。そのため、ここのところ、日経平均株価やTOPIXの値動きがなかなか上昇せず、日本の株式市場はいまひとつさえないという印象を多くの人が持つ中、小型株が大きく上昇していることは意外と気づかれていない。

 

ところで、小型株の中には、技術力に優れた新興企業が多く含まれる。このところの「小型株の上昇」は、「投資テーマ」としてもわかりやすいことから、「日本経済の新しい成長機会の登場」と解釈されることが多いようだ。

特に、最近は、将来の経済成長の制約要因として人手不足なども話題になっているため、AI(人工知能)や産業用ロボットなどの新しい技術分野の登場と関連付けて、「第4次産業革命」などといわれ、株式投資とは縁の薄い一般社会でも注目を浴びる機会が増えてきている。

この手の技術革新が結実すれば、当然、潜在成長力を引き上げることになる。そのため、このような「小型株」の株価上昇が、本当に将来の日本の成長期待を反映したものであれば好都合である。

得てして、株価は実体経済の動き(ここでいえば、「第4次産業革命」による潜在成長率の上昇)を先取りして動くことがあるので、小型株の上昇は、「アベノミクス」の課題として誰もが指摘する、日本経済の「構造改革」が結実する可能性が高まっていることを示唆するのかもしれない(一方、「大型株」の停滞は、技術革新による主力産業の世代交代、及び旧来型の優位産業の衰退を反映しているという解釈になるのかもしれない)。

だが、果たして本当にそうなのか?

「順張り投資」のパフォーマンス

もう一つ、将来にある程度の高成長が見込まれることを前提とした株式投資戦略として、「モメンタム(順張り)戦略」というものがある。

「モメンタム戦略」とは、過去の一定期間(例えば、過去1年間)において、好パフォーマンスを上げた(すなわち、株価が大きく上昇した)銘柄の株価が、将来もそのまま上昇していくことを想定する投資戦略である(逆の投資戦略は、「リターンリバーサル(逆張り)戦略」と呼ばれる)。

かつては、世界の株式市場では、この「モメンタム戦略」が最もパフォーマンスの良い投資戦略として機能してきた。これは、ファイナンスの基本的な原理である「効率的市場仮説」を打ち破る戦略として、ファイナンスの世界では、「アノマリー(理論では説明できない現象)」とされてきた。