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いわゆる「幸せな結婚」をして家庭に入ったのに浮気癖が止まらない女

A子ちゃんとB美ちゃんの複雑な感情②
鈴木 涼美 プロフィール

婚活が就活、旦那が上司

今でも彼女と食事をすると、隣のおじさんたちが勝手に伝票を持って行ってくれたり、いつのまにか知らない男と次の店に流れていたりと若い女の子のような事態が度々起こるし、おそらく女の私たちが単にスタイルが良い美人、と言う以上の男にとってたまらない何かがあるに違いない。

そして結婚する年齢を間違うことなく、遅すぎず早すぎない時に設定したのも彼女のうまさである。出会って2ヵ月ほどの人とスピード結婚し、銀座のレストランで質素な結婚パーティーを開いた。潔い彼女は「私の場合は、婚活が就活、旦那が上司」と昨年流行ったドラマのようなことを言って、ハート柄のエプロンや朝ごはんのスクランブルエッグを恥ずかしげもなく用意していた。

 

妊娠してお腹がだいぶ目立つようになっても彼女の生活は少なくとも友人たちと接する範囲ではあまり変化したように思えなかった。彼女としては若干不本意な中流マンションに住んではいたが、バッグはフェンディだったし、友人の温泉や韓国旅行への誘いも断ることはなかった。

子供が生まれたという報告の後、しばらくあまり出歩いてはいないようだったが、子供が生まれたら大体そんなものだと思っていた私は、別に気にすることもなく、時々ちょっとした連絡を取り合っていた。

久しぶりに切羽詰まった連絡が来たのは子供が保育園に入り、彼女は保育園に入れるためのパート仕事を始めて半年が経った頃である。浮気癖が止まらなくて悩んでいるからどっかでお茶でもしながら話したい、というメールを見たとき、当然私は、結婚式で一度だけ話したことがある、確か総合商社に勤めているはずの彼女の旦那の顔を思い出し、彼の浮気を想像したのだが、実際に会って話した彼女は以前のどこか常に余裕のある女とも、彼の前で優等な成績の主婦を演じる潔い女とも違った、不満と不安だらけの別の誰かみたいだった。

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「1人はヒルズでナンパしてきた外銀の独身で年上。これが本命で、でも好きになりすぎると辛いから、もう1人ともこまめに連絡とってて。こっちはアート系。なんか物件のリノベーションとかやってる人。ヒゲ生やしててタイプじゃないけど、こっちは年下で連絡はすぐ取れるし都合もつけてくれる」

彼女がいつのまに自信と余裕と理性を無くしたのか、しばらく会っていなかったからよくわからなかったが、彼女が既婚であることを知らない外銀の男と急に連絡が取れて会えることになり、旦那に子供を任せて泊まりに行って以来、旦那もどこか不審げな眼差しを投げかけてくるようになったという。