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まもなく6年目に突入するアベノミクスで、まずやめるべきこと

これでは外国人投資家が逃げてしまう

止まらない日本の財政悪化

来年度概算予算が100兆円を突破し、一方、税収が伸びない状況下、財政赤字が拡大する可能性が高い。このため政府からの補助に半分依存する公的年金への不安が高まっている。いうまでもなく日本の年金は海外の先進国と違い、定年後の収入の中心となるものである。

2016年に設定した、2020年のプライマリーバランス(基礎的収支)黒字化の目標も破棄される。この目標がGDP対比の財政赤字に変更が図られているが、これは明らかに財政規律の低下である。

5年後の目標さえもできない財政の運営は、当然、年金のように、より長い期間の目標はできるはずがないと考えるのが自然である。つまり、財政および年金への信用が落ちているのである。

 

日本は約1300兆円の財政赤字(政府総債務残高)があるが、このうち約4割以上はこの10年で増加したものである。この財政赤字が、真面目な国民の将来に対する不安となり、消費も伸びず景気も回復しないのである。

日本の財政赤字は、GDP対比で約240%、OECD加盟国では、ギリシャの約180%を抜いてダントツの1位であり、IMFからギリシャと同様の処方箋が出されている。もはや、年金・医療費の削減・増税が必要な段階だ。人のことを言うのは簡単であるが、いざ自分となると、それは、となるのが人情である。

日本に対しては具体的には、まずは消費税を0.5%ずつ上げて15%にすべきとIMFからアドバイスされている。この点からも2019年10月の消費税増税を実施すると宣言した安倍首相は評価できるというか、これ以上の増税阻止の政治的配慮は、真面目な国民に対して逆効果と考えられる。

筆者は、このような長い時間を視野に入れる政策では、経済の枠を超えて「生き方」「考え方」の問題になると考えている。

借金が多くても平気な人がいるし、住宅ローンの変動金利に気をもむ人もいる。同様に、財政赤字も大丈夫という人もいる。筆者も、金融機関の経営計画の策定にも携わってきたが、中期(3年)の経営計画も、前提がぶれることも多く、修正なく達成することは難しい。

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ピケティの指摘

米国民は一般的に個人のポートフォリオでは、「株式」の運用比率が高いといわれており、定年後のメインの収入も個人年金であり、突き詰めれば年金も含め株価次第ということになっている。(ちなみに、米国の公的年金は老後の資金とすれば「サイド」の存在であるが、運用対象は国債等で、株式の運用は禁止されている)

リーマンショック以降の先進国における量的金融緩和は、株価や資産価格を上げることが目的で、個人に対しては、いわゆる「資産効果」が大事な効き目となる。

また、経済成長(率)が、各国の景気の目標となっているが、その過半が個人消費なのである。日本では約6割、米国では約7割が個人消費である。つまり、個人の消費を中心として回復がないと、景気回復とは言えないのである。

しかし、資産効果では、株式を主とした資産を持っている人には効くが、資産を持っていない人には効かないという、当たり前の特徴がある。要は資産を持っている金持ちには効くが、持ってない庶民には効きにくいのである。

現在の先進国では、産業は成熟化しているために、資金を必要としない。銀行の預貸率を見て分かるように、融資という形で産業に資金が回っていかないのである。そこで、資金は資産に向かうことになり、資産価格を上昇させることになる。

先進国の金融政策の目標は表向きには消費者物価(CPI)の上昇であるが、資産価格の上昇は当然ながら消費者物価の構成要素ではないので、直接的な効き目はない。

つまり、成熟した先進国における量的金融緩和は、いわゆる「格差」の拡大になってしまうのである。そこを指摘したのがフランスの経済学者ピケティであった。