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野球 週刊現代

藤浪と島袋…甲子園連覇を果たした二人のエースに起こった「異変」

あの夏、彼らはたしかに輝いていた

あまりに早くキャリアのピークを迎えると、残りの人生がままならなくなる。これは、どんな世界でも共通することかもしれない。かつて「頂点」を極めた二人のエースは今、苦悩の日々を送っている。

怯えたような表情

8月16日の広島戦。4回ツーアウト。広島の2番・菊池が右打席に立った瞬間、阪神の先発・藤浪晋太郎(23歳)の表情が明らかにこわばった。

初球、振りかぶって腕を引いた瞬間にボールがすっぽ抜け、一塁側に転々と転がる。
嫌な空気が漂う。

2球目を外の直球で外した3球目。キャッチャー梅野の要求は真ん中。

だが、藤浪が投じたボールは大きく逸れ、菊池の肩を直撃する。球場は騒然とし、真っ先にベンチを飛び出した広島の石井打撃コーチは激しい口調で審判に抗議、乱闘こそ起きないものの、両ベンチから選手たちが駆け出し、一触即発の空気が流れる。

 

〈また、やってしまった……〉

帽子を取り、怯えたような表情を浮かべる藤浪の顔色は、真っ青だった。

「あれはもう、相手との『勝負』になっていないよね。自分の中で『また右バッターだ、ぶつけたらどうしよう』というプレッシャーとの闘いになっているわけですから。

2回に大瀬良にぶつけた球なんか、キャッチャーが外に構えているのに逆球でインサイドに抜けて当てている。ああなると、本人はもう恐くて放れない状態だと思います」

当日、実際に藤浪の様子をつぶさに見ていた北別府学氏がこう言うように、この日、藤浪は7四死球を献上。相手はすべて右バッターだった。

5回に投じた8番・石原への107球目は頭部付近へ大きく外れ四球。2アウトながら、この日すでに一度ぶつけている大瀬良を迎えたところで交代を告げられる。

藤浪晋太郎Photo by GettyImages 藤浪晋太郎