行政・自治体 週刊現代 日本

霞が関「7人の天才」はこんな人たち~頭がキレて、モノが違う

ただし、出世できるかは別問題
週刊現代 プロフィール

総理を助ける「通訳の天才」

単に頭脳明晰なだけでなく、霞が関には「人たらし」の天才も存在する。経産省出身の平塚敦之氏(福岡県立筑紫丘高校・東大法学部卒、'92年、通商産業省入省)は現在公正取引委員会に企業取引課長として出向するが、本省在籍時は「天性の調整役」として知られた。

難問を抱えたところに駆り出されることが多く、悪く言えば「便利屋」だが、一方で「切り込み隊長」として敵陣に乗り込み、うまく落とし所を見つけてくる逸材として周囲から評価されている。

「'04年には『在欧日系ビジネス協議会』(JBCE)の事務局長に就任し、EUの本部があるブリュッセルでロビイストとして活躍。環境規制が厳しいヨーロッパで、日本メーカーの主張を代弁して各国にぶつけてきた行動派の経産官僚です。

海外での調整で培われたのは、相手の懐に飛び込む能力でしょう。日本に国際会計基準を導入しようという動きが起こった際も、金融庁は推進派でしたが、経産省は慎重だった。日本企業からの反対の声が多かったからです。

そうしたときに国際会計基準の早期導入を推進する『会計サミット』が開かれました。そこに乗り込んでいったのが、企画担当官だった平塚氏です。推進派に『何をしにきたんだ』と嫌味を言われながらも、『いやいや、話だけでも聞かせてください』と取り入り、推進派とも飲み仲間になってしまった。

結局、国際会計基準は導入されましたが、強制適用にならず、穏便に事が進んだのは平塚氏の調整があってのことです」(全国紙経済部デスク)

平塚氏は、どれだけ警戒されていても、一度酒席をともにすれば相手を取り込む魅力を持つ。

「彼の一芸を挙げるとすれば、酒豪ということでしょう。日本酒、ワイン、ウイスキーとなんでもこなす。彼と飲むと『取り込まれるぞ』と警戒する人もいるのですが、そんな人でも最後は彼の魅力にやられてしまう。腹を割った話がうまいんです」(経済ジャーナリスト)

Photo by iStock

若いながらも、周囲に「モノが違う」と一目置かれる天才が外務省にいる。安倍総理の掲げる「地球儀外交」を通訳として支える高尾直・条約課首席事務官(東大法学部卒、'03年入省)の名前を霞が関で知らない者はいない。総理の通訳としてオバマ、トランプ両大統領との首脳会談に立ち会っているからだ。

「もともと帰国子女で、中学3年生で帰国し、わずか2ヵ月の勉強で開成高校に合格。高校時代から英語力は断トツで、ピアノもうまくて有名でした。今も同窓生とともにリサイタルを開くプロ顔負けの実力です。

彼を一言で表せば、『死ぬほどの努力家』。元々、英語力がずば抜けていたにもかかわらず、外務大臣の通訳をやっていた頃は、休日に通訳学校に通って勉強を続けていました。

入省後、ハーバード大学大学院のケネディ・スクールで修士号を取得しているのですが、今も休みがあれば、ハーバードの同級生に会って刺激を受けるために渡米しています。

首相の通訳として重圧もあるはずですが、決して弱音は吐かない。トランプ大統領との会談後、会う機会があったのですが、『歴史的な現場に立ち会えて幸せだった』とにこやかに語っていたのが印象的でした」(高校・大学時代の同級生)

 

ある外務省関係者は、事前の入念な準備こそが彼の真骨頂だと語る。

「以前、安倍総理が某国の首脳と初めて会談することになり、そのときの通訳も高尾さんが担当しました。

そのとき、高尾さんはその首脳の演説動画をそれこそ『テープが擦り切れるほど』見続けて、発言の癖などを覚えていました。こうした癖を捉えることで、本番では相手の特徴を踏まえた上で、発言の真意を正確に汲み取ることができるようです。

逆に安倍総理が言葉の言い回しなどで間違えた場合も、その間違いをそのまま訳すのではなく、総理の意図を汲み取って、真意を正確に訳す。

首脳会談後、議事録が幹部の間で配られるのですが、よくもここまで双方の発言の真意を理解して通訳しているものだと、幹部はみな舌を巻きます」