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霞が関「7人の天才」はこんな人たち~頭がキレて、モノが違う

ただし、出世できるかは別問題
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携帯電話の未来が見えていた

総務省には海外にもその名を知られるスーパー官僚がいる。谷脇康彦・政策統括官は愛媛県の愛光高校から一橋大学経済学部に進み、'84年に旧郵政省に入省した。

「同じ郵政官僚でも、アイドルグループ『嵐』の櫻井翔の父親で『櫻井パパ』こと、桜井俊元次官('77年入省)のように次官コースを辿ってきたゼネラリストではありません。

ITやサイバーセキュリティの分野でシリコンバレーや米ペンタゴンを含め、世界的に名が売れているスペシャリストなのです」(全国紙経済部デスク)

当初は郵便貯金を手がけていたが、パリにあるOECD(経済協力開発機構)本部やワシントンの在米大使館での勤務を経て、情報通信の分野に身を投じた。

谷脇氏と入省同期で、現在は慶應義塾大学メディアデザイン研究科教授の中村伊知哉氏が言う。

「彼は入省してしばらく郵便貯金を担当していて『貯金の谷脇』と呼ばれていました。そのままだったら今頃、ゆうちょ銀行の幹部になっていたはずです。ところが、海外勤務を経て、『通信行政を行う』と突然、手を挙げた」

当時は携帯電話が一部で普及し始めたばかり。しかし、谷脇氏には携帯電話が一般的になり、各社が自由競争をする未来が見えていたのだろう。そのほうが、利用者にとってもメリットがある。

「私は彼と組んでNTT再編を手がけました。通信産業の全体に関わる大仕事ですから、業界から凄まじいプレッシャーがありました。私なんかは大変なことをしているとドキドキしたものですが、彼はあっけらかんと楽しそうにやっていたんですよ」(中村氏)

さらに谷脇氏は、10年ほど前にはモバイルの競争環境の整備にも手を付けた。携帯電話のSIMロックを解除させたり、携帯端末の販売奨励金を廃止したり、ドコモやau、ソフトバンク以外の企業を新規参入させたりするというドラスティックなものだった。

中村氏が続ける。

「そのおかげで、通信業界では、『谷脇不況』なる言葉も生まれました。通信端末の値段や通信料が下がれば企業の儲けは減りますから。彼がいなければ携帯料金は今も高いままだったかもしれません。彼が国民のために成し遂げた仕事は実に大きいと思います。

私が彼を評価しているのは、上半身と下半身の両方を使える人間という部分です。理論家であり、かつ政策を実行する人なんです。普通の役人はどちらか一方しかできない。

企画して他人に何かをやらせるタイプと、他人に言われて調整して実行していくタイプ。しかし、彼は両方やってしまう。そこが役人として天才的なところだと思います」

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谷脇氏は、ただの仕事のできるエリート官僚ではない。ユーモアのセンスも独特だ。

「長男が生まれたとき、『タニワキワニタ』という名前を付けたかったらしいんですよ。上から読んでも下から読んでも『タニワキワニタ』(笑)。さすがに奥さんに怒られたそうですが」(中村氏)

財務省には「最強の閨閥官僚」と呼ばれる「資格マニア」がいる。可部哲生・総括審議官(筑波大附属駒場高校・東大法学部卒、'85年、旧大蔵省入省)は、ポスト安倍の最有力候補、岸田文雄・自民党政調会長の妹を妻に迎えている。

「岸田さんをはじめ、経世会の政治家との付き合いは深いと思いますが、それを表に見せることはしません。また、祖父は最高裁判事を務めた可部恒雄氏。普通の官僚と毛並みが違います。

しかし可部さんは、その着実な仕事ぶりで評価されてきました。同期の矢野康治・官房長と藤井健志・国税庁次長と三つ巴で次官レースを争っていますが、一番優秀なのは可部さんと省内では言われています。

今夏の人事では矢野官房長に逆転された形ですが、まだわかりません。仮に岸田政権ができれば、義弟である可部さんの存在感はますます重くなるでしょう」(財務省中堅幹部)

 

また、生まれてこのかた「試験では1番以外取ったことがない」(全国紙財務省担当記者)と言われる天才でもある。

同記者が続ける。

「アメリカ大使館時代に『時間があった』という理由で、米国の弁護士資格を取得したことは有名です。他にも米国でクルーザー免許も取得するほどの『資格マニア』として知られます」