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金融・投資・マーケット 週刊現代 中国

中国人の「タワマン爆買い終了」で、日本の不動産が大ピンチに

そのうえICBMまで飛んで来たら…

「被害者」は湾岸タワマン生活を謳歌する住民だけではない。2020年の東京五輪を前に始まったマネーの大脱走は序章。湾岸発の不動産パニック劇は間もなく、日本列島全体に悲鳴を響かせる。

投げ売り、そして叩き売り

東京湾を望む湾岸エリアでも屈指の人気を誇る豊洲地区。優に10を超えるタワーマンションがそびえたつ日本有数の「タワマン街」にあって、コンシェルジュ付きでホテル並みの豪華さで知られる有名物件に住む酒井隆氏(仮名、42歳)はいま、頭を抱えている。

事の発端は酒井氏が転職で職場が遠くなるため、いま住む部屋を売却しようとしたことにある。

酒井氏の住むタワマンは近くに緑豊かな公園が広がる好立地なうえ、丸の内まで電車で十数分という交通の至便さもあり、東京駅周辺で働くファミリー層に人気。設備も申し分なく、夜景を一望できるラウンジスペースからジェットバス完備の大浴場もある。

それだけに売りに出せばすぐに成約すると思ったが、そんな酒井氏の「楽観」は見事に裏切られることになる。

「売り出してから半年以上経っても、一向に買い手がつく気配すらない」(酒井氏)

売買仲介を頼む不動産業者に理由をたずねても、「こういうのはタイミングですから」と曖昧な返事が返ってくるのみ。そこで、不可解に思った酒井氏が旧知の不動産関係者に調べてみてもらったところ、衝撃的な事実を知ることになった。

まずわかったのは、このタワマンは中国人が多くの部屋を所有する「チャイナ・マンション」として業界内では知られた物件であったということ。販売当初には1000近い部屋を売り切れるのかと業界関係者の間で囁かれていたところ、中国人たちが上層階を中心に「爆買い」したことで完売した経緯があった。

一方、ここ1年くらいは、中国人による爆買いの活況から打って変わって、マンションから「売り」に出る物件が急増していたこともわかった。

しかも、その数は1件、2件ではなく、酒井氏が売りに出した時にはすでに20件近い大量の売り物件がこのマンションから市場に出回っていたことが発覚したのである。

「しかも、相場より安い『セールス価格』での安売りも始まっていて、安値に落とした物件から成約していく投げ売り状態になっていた。私も値段を度外視しないと売れないが、それでは住宅ローンの支払いが残るので、どうすべきか」

実はこの酒井氏のケースのように、湾岸エリアのタワマンで中国人による「爆売り」があちこちで勃発。気付いた一部の関係者の間で、大異変として騒がれ出した。

マンション評論家の榊淳司氏が言う。

「たとえば豊洲エリアに建つ有名物件で住民がプールも楽しめる高級タワーマンションがあるのですが、ここは投資目的の中国マネーが3割ほど入る人気物件だった。

それがいまでは、30件以上の大量の売りが出る『爆売りタワマン』と化しています。あまりに売りが殺到して、月に1件ほどしか成約しない。投資目的の中国人からすれば坪単価300万円弱で十分に儲けが出るので、その水準で売れるうちに売ってしまおうという動きが加速している」

 

中国や台湾の富裕層に太いパイプを持つマンションデベロッパーが、顧客の中国人に新規物件の営業に行ったところ、むしろ手持ち物件をすべて「売りたい」と持ち掛けられて震撼した――タワマン業界ではそんな「夏の怪談」のようにゾッとする話も語られ出した。

湾岸エリアのタワマン事情に詳しい不動産コンサルタントによれば、最近では中国人による「即売り」という新現象も急増している。

「即売り」とはなにかといえば、中国人が数年前にこぞって買ったタワマンがここへきて竣工ラッシュ。引き渡しが行われる物件が大量に出ている中で、引き渡し直後、即座に「転売」に出すケースが続出しているというのだ。

「中国人投資家が大量に購入したあるタワマンでは、引き渡しが行われた直後に100件近い『即売り』が出たと話題です。引き渡し前に手付け金を放棄して解約するケースも出てきた」(前出・不動産コンサルタント)

湾岸エリアのタワーマンションは、東京オリンピックの効果もあって絶好調。中国人ら海外マネーの買いも旺盛なので、まだまだ価格は上がっていく――。

そんな景気のいい話がいまも多くのメディアで流されているが、それとは正反対の異常事態が水面下で起き始めているのだ。