2台のロボットとの雑談対話を体験〔PHOTO〕現代ビジネス
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羽生善治がNTTの研究所で出会った「グローバル聖徳太子」とは?

AI技術の広がりを体感する

提供:NTT

東京・三鷹にあるNTTの研究所を訪れたプロ棋士・羽生善治。そこで目にしたのは、ユニークなAI研究の数々だった。

研究部門のトップである篠原弘道NTT副社長を相手に、将棋と人工知能について語った前編に続き、後編ではAI研究の現在地をどう見るか、そしてそもそも人類はこの技術とどう向き合っていけばよいのかまで存分に語ってもらった。

〔→前編はこちら gendai.ismedia.jp/articles/-/52687

研究者の説明に耳を傾ける羽生さん

AIは人類の敵か?

羽生善治 さまざまな研究成果を見学させていただいて、本当に幅広い分野でAI研究が進んでいることを実感しました。同時に、それらが実用化されて社会に出てくる時期が迫っているんだなと思いました。

AIというと、どうしても「人間対AI」という構図で捉えられがちです。将棋界でもプロ棋士が将棋ソフトに勝った負けたが大きなニュースになりますし、AIによって人間の仕事が奪われるという議論もあります。でも、それはかなり一面的な見方ですよね。

篠原弘道 はい。おっしゃるように「人間対AI」という見方もありますが、われわれは、AIとは人間をサポートするもの、人間の能力を補強し引き出すものと考えて研究を進めています。

言うまでもなくコンピュータの計算能力やメモリの能力は人間より優れていますから、そういう部分をうまく使って、人間と共存し、人間とともに新しいものを創っていけるAIを目指しています。

一口にAIと言っても、その技術的な広がりはさまざまな分野にわたります。NTTでは、研究開発で培ったさまざまなAIを「corevo(コレボ)」と総称して活動しています。「corevo」は通信キャリアとしての強みを生かした4種類のAIから構成されています。

4種類のAIから構成されるNTTの「corevo(コレボ)」。さまざまなプレイヤーたちと一緒に革新を起こしていく(collaborationとrevolution)という思いから名付けられた。corevoの詳細はこちら

1番目は「Agent-AI」。人間に対するエージェント(代理)です。これは、人間の発する情報をもとに、音声認識や言語解析の技術などで人間をサポートするAIです。

昨年、アメリカで、雑音の中で人間の音声をどれだけ聞き取れるかというコンテストがあったんですけど、うちのグループがダントツの世界一になりました。我々はもともと電話屋なものですから、音については非常に詳しいんです。この技術を具体的に生かせる場面としては、たとえばコールセンターのオペレータの支援などですね。

羽生 先ほど拝見した、いくつもの言語で同時に話しかけられた言葉を、すべて認識する技術には本当に驚きました。私には「ワー」というただの音の塊にしか聞こえないのに、日本語・英語・中国語…とすべて選り分けて認識する。まさに「グローバル聖徳太子」(笑)。

人間はどうやったってこれ以上、耳をよくしたり、目をよくしたりすることはできません。センサーの技術が上がっていくと、人間では識別できないことも識別できるようになりますね。

羽生善治

篠原 「Agent-AI」についてはかなり早く実用化できるようになると思っています。ただ人間には、言葉のように直接的に発する情報のほかに、内面に抱えている欲求みたいなものもありますよね。たとえば、相手がYesと言っていても、目を見たら本当はNoと思っているとわかるとか。

羽生 ありますね。

篠原 そういう人間の深層心理まで含めて対応するとなると、まだ時間がかかると思います。

羽生 雑談対話の技術も体験させていただきましたが、雑談は、人間にとって簡単なことがAIには難しいという典型的なケースですよね。不自然なところがなくて、円滑に話している感じがありました。

篠原 今日ご紹介したのは幼稚園児ぐらいの受け答えで、相手を喜ばせたり、ウィットに富んだことを言ったり、TPOをわきまえたりといったことはまだまだ難しいのですが、たとえば一人暮らしの高齢者が話しかけた時に何か応えてくれるだけでも、なんらかの役に立つのではないかという気がしています。

羽生 日々の生活を豊かにしてくれると思います。高齢化社会を迎えて、一人で暮らしている方も多いでしょうから、ああいう研究が進むと素晴らしいですね。