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経済・財政 週刊現代

「名古屋のカネ持ち」は、結局どれくらい金持ちなのか

好景気の街で広がり続ける「格差」

ド派手、ブランド好き、見栄っ張り。名古屋人気質はこう評される。たしかに今回登場する資産家も、自家用ヘリやフェラーリ、宝石が好きな人たち。だがその背景には、深遠な金銭哲学がある。

名古屋財界は「ムラ社会」

8月某日、名古屋市内の高層ビルから1機の新型ヘリコプターが飛び立った。操縦桿を握るのは、スポーツ用品店「アルペン」創業者の水野泰三会長(68歳)だ。

同乗したのは――元フィギュアスケート世界女王の浅田真央。同じく元フィギュアスケート選手の村上佳菜子、小塚崇彦も加わる。アルペンの保有する「みずなみカントリー倶楽部」までは、約15分のフライトである。

浅田真央はこの日がゴルフの初ラウンド。この夏、水野会長と大相撲名古屋場所や愛知県体育館でのアイスショーの場でゴルフの話が持ち上がり、デビューとなった。

 

「真央ちゃんは初めてコースに出るんです。自社のゴルフ場ですから、人目を気にすることなく、楽しんでもらおうと思いまして。コース内はエアコン付きのカートで移動できるので、日焼けもあまりしませんしね。

プライベートなので、結果は非公表ですが、フィギュアスケートの選手はひねりが素晴らしいし、ジャンプしても軸をぶらさずに回転するから、どの選手もスイングの筋がいい。これは大発見でした」(水野会長)

昨年9月、社長から会長になり、社長を長男に譲って現役を退いた水野氏は、今後、愛知県や名古屋のアスリートたちと親交を深め、スポーツ界の活性化を陰で支えることに一役買うという。

水野会長が話す。

「社長を退きましたが、現在もほぼ毎日出勤して仕事をしています。以前より時間を取れるようになったのが、大きな変化です。空いた時間はスポーツをして、健康のために使ったり……そんな年齢になったなという感慨もあります」

水野会長の人生は挑戦の連続だった。'72年にスキー用品店を創業するも、間もなく泥棒に入られてしまう。資金繰りに窮して、残った在庫を安売りしたところ、これが大繁盛につながった。

後に米国視察で巨大店舗を空から視察し、高速道路のインターチェンジ近くに大型店を作れば人が来ると確信。一宮インターチェンジ近くに当時としては珍しい数百坪の大型店舗を作って成功させた。

他にも、いち早くプライベートブランドを立ち上げたり、シーズンオフの球場の駐車場を使って大セールを展開したりと、革新的な手法で事業を拡大してきた。

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「創業時から自分の勘で動く『カンピュータ』を頼りに、斬新なアイデアを実現していきましたが、新社長になってからは『コンピュータ』を駆使して、通販などにも事業を広げていっています。

うちは典型的なオーナー企業ですが、今後は新社長のやりたいようにやってもらいたい。社員たちが萎縮しないよう、よく話を聞いてチームアルペンとしてやっていってほしいと伝えています。

資産ですか?持ち株は一族で61%ほど(時価総額は約564億円)。私個人で株の20%を保有しています」(水野会長)