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増加する「息子介護」~妻が何とかしてくれると思っていたら…

まさか自分が介護とは…という男の本音

介護する息子は増え続けている

家族は社会の関数である。

家族のあいだに何が起こるか、家族のなかで何ができるかは、人口や経済を含めた社会の大きな流れの影響をもろに受けている。

高齢の親を誰が・どう看るか、という「親の介護」問題も、社会の変化を受けて様変わりしてきた。その変化の一つが、親を介護する男性=息子介護者の増加だ。

厚生労働省の『国民生活基礎調査』(2013年)によると、同居の「家族」から主に介護を受けている高齢者のうち、その「家族」が息子であるケースは16.3%。一方、娘や義理の娘から主に介護を受けている高齢者は、それぞれ19.1%、17.8%である。子世代が介護しているケースのなかで、息子介護者はもはや少数とはいえない。

ちなみに、この数字は同居介護に限った割合だが、日本では、主たる介護者が同居しているケースがいまだに過半数(6割以上)を占めている(内閣府『平成28年版高齢社会白書』)。

 

息子が介護するのは独り身だから?

こうした息子介護者の増加を、シングル男性の増加と結び付けたがる向きがある。息子の妻による介護が「ふつう」だったこれまでを念頭に、「息子介護者が増えたのは、妻に親の介護をしてもらえない独身男性が増えたからだ」という説だ。

だが、この説は、必ずしもデータによって支持されているわけではない。

例えば、全国国民健康保険診療施設協議会が2012年に行った調査(『家族介護者の実態と支援方策に関する調査研究事業』)は、介護する家族の婚姻状況を調べている。それによると男性の「老親介護者」の50%は、有配偶者である。

対してシングルの方はというと、一度も結婚したことがない男性だけでなく、離別シングルや死別シングルもあわせて、ようやく有配偶者の割合に拮抗する。「息子介護者が増えたのは、独身男性が増えたから」というには、既婚者の割合が「多すぎる」ことに気が付くだろう。

息子介護者が増えた背景には、「シングル男性の増加」説とは真逆の現実がある、と考えたほうがよい。つまり、結婚していようといまいと、自分で自分の親を看る男性が増えたからこそ、息子介護者はここまで――娘や義理の娘の割合に「引けを取らない」程度まで――増えた、ということだ。

そもそもシングル男性が増えたといっても、男性の生涯未婚率(50歳までのあいだに一度も結婚したことのない人の割合)は23.4%(国立社会保障・人口問題研究所による2015年国勢調査データの分析より)。シングルは少数派のままだ。だとすれば、息子介護者の増加要因としては、シングル男性は「少なすぎる」とはいえないか。