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まもなく「ドイツ総選挙」なぜ、かの国の政権はこんなにも長続きなのか

メルケル4選のその先を考える

16年もの長期政権になる

ドイツでは国政選挙は原則的に4年に一度しか実施されない。ドイツは連邦制を採っており、2つの院から構成される国会は連邦議会と連邦参議院とよばれる。

後者は連邦を構成する16州の政府代表から構成されるため選挙はない。9月24日に選挙が実施されるのは連邦議会の方である。議院内閣制を採るドイツでは、この連邦議会の多数派が首相を決定することになる。

2005年9月の選挙で勝利して以来、メルケル首相は12年にわたってその座にあり、2017年の選挙で勝利して次の4年の任期を務めるとすると、16年もの長きにわたって首相であり続けることになる。

戦後ドイツ(正式にはドイツ連邦共和国)の長期政権は、ドイツ統一を達成したコール政権が16年(1982年〜1998年)、アデナウアー政権が14年(1949年〜1963年)であるが、メルケル首相は歴史に名を残している二人と並ぶ長期政権を維持することになる。

8月中旬時点までの複数の調査結果を見る限り、メルケル首相が政権を維持することはよほどの事態が生じない限り確実であると思われる。

 

そのため既にメルケル政権が続くかどうかではなく、どのような政党の組み合わせによる連立政権になるのか、連立組み合わせの違いによって政策がどのように変わるのかということにメディアや人々の関心が向かっている。

選挙結果が開票されるまでは確実なことは言えないものの、EUにとっても、世界にとっても大きな影響を及ぼすドイツ連邦議会選挙の政治的意味を確認しておこう。

いまのところ4選は確実だろう〔PHOTO〕gettyimages

ドイツの政治制度は「超・安定指向」

メルケル政権が長期政権となっている背景には、戦後ドイツの政治制度がある。

先進的な基本権規定を持ち、民主的な制度を規定していたものの、ナチスの台頭を許し、大きな惨禍を招いてしまった反省から、戦後ドイツの制度は、安定を強く指向するものになっている。

原則として4年に一度しか国政選挙がなく、議会の解散は首相自らが提出した信任動議が否決されるという例外的な状況でない限り行われないこと、野党からの不信任は次の首相を選出することでしか行えないこと(「建設的不信任」:首相を辞めさせるだけの不信任動議は提出できない)など、政治を不安定にさせず、政府を安定させることが重視されている。

また阻止条項とよばれる制度を持つ選挙制度は、比例選挙で5%以上の得票率を獲得するか、同じ政党の選挙区候補が3名以上議席を獲得するかしなければ、一切の比例議席配分が行われない(「5%阻止条項」)。