学校・教育

「東京大学のやり方は大問題」非常勤雇用ルール巡って労組が緊急会見

最大数万人に影響…?

対立の根源

首都圏の大学などの教育機関に非常勤で勤務する教員・職員の労働組合「首都圏大学非常勤講師組合」と、東京大学教職員組合が8月23日午後4時より、厚生労働省記者クラブで会見を行った。東京大学が、「非常勤教職員の大半を、2018年4月以降雇い止めしようとしている」と主張。「日本を代表する公的な機関としてのコンプライアンスに問題があるのみならず、全国の非正規労働者に深刻な影響を与える」と警鐘を鳴らした。

筆者撮影

問題の根底にあるのは、2013年4月1日に施行された「改正労働契約法」だ。ごく簡潔に言えば、2013年4月以降、5年以上同じ非正規労働者を同じ職場で雇う場合、本人が希望すれば原則「無期雇用」にしなければならない、というもの。労働者の雇用の安定を狙ったもので、企業ではこれを受けて非正規雇用の無期雇用化を進める取り組みが進んでいる。

一方、大学では5年以上働いた非正規労働者をどう扱うかについて、明確な基準を示せていないところが多いのが現状だ。

 

東京大学には、特任教員や看護師・医療技術職員などの「特定有期雇用教職員」2694人と、パート教職員の「短時間勤務有期雇用教職員」約5300人の非常勤職員がいる。あわせて約8000人のほとんどに、2018年以降は「無期雇用職員」への転換を申し込む権利が発生するはずだった。

ところが、東京大学は改正法が施行された2013年に、非常勤教職員の雇用のルールを「密かに」変更、独自のルールを設けていたという。

前述のとおり、5年以上働いた非正規労働者は「無期雇用」への転換を申し込むことが可能となるのだが、6カ月以上の休業期間(クーリング期間と呼ばれる)がある場合、継続して働いた期間が「リセット」されるというルールがある。

東京大学の場合、これまで非常勤教職員は単年度契約で上限5年まで更新ができ、3か月のクーリング期間(一種の休業期間)をおいて、再度契約が可能だった。

しかし、労働契約法の改正によって、6カ月以上のクーリング期間でなければ「リセット」されたとはみなされなくなったため、クーリング期間を3か月以上から「6か月以上」に変更したのだ。

この変更により、非正規職員は5年働いたあともまた働きたい場合、6カ月の「クーリング期間」を原則取らざるをえなくなるという。すると雇用期間が「リセット」されるため、無期雇用の権利が消滅してしまう。

非常勤講師組合の松村比奈子委員長は、「これによって、フルタイムの教職員の一部と法人化前から勤務する480人のパート教職員を除く、パート教職員の4900人近くが例外なく雇い止めされる危機にある」と指摘するのだ。

さらに「大学がクーリング期間を3か月から6か月に変更したのは労働条件の不利益変更にあたるが、就業規則の変更などの手続きや、労基署への届け出などが行われていないため、労働基準法違反の疑いがある」と違法性についても言及した。