不動産

「賃貸は家賃を捨てるだけ、持家は将来資産になる」はフェイクだった

タワマンは“砂上の楼閣”なので…
牧野 知弘 プロフィール

自分が「住む」だけの利用価値を考えるならば、ごく一部のエリアを除いて、マンションという資産はあまり魅力的なものとは言いがたいというのが筆者の結論だ。

ましてや、長年のローン支払いから解放されてからも、維持修繕費やマンション内の空き住戸問題、管理費未納・滞納問題など、自分はちゃんとやっていても他人のせいで居住環境の維持が難しくなるような資産である。本来、所有することには慎重になったほうがよいのかもしれない。

 

「マンションは賃貸用資産」が常識になる

賃貸住宅としてのマンションは、借りる側にとってはまことに都合のよいものだ。

利便性がよく、住戸の管理がしやすく、安全性の高いマンションは、都会の棲家としては格好の住宅だ。自身の人生の変化、リストラにあう、事故でけがをする、病気になる、地震などの天変地異に遭遇する、などなどのリスクが身にふりかかったとしても、住み替えてしまえば大きな負担を背負い込む心配はない。

25年後、子どもがいたとしても、すでに独立して夫婦二人で暮らしているケースが多いだろう。場合によっては、妻と離婚しているかもしれない。病気になっているかもしれない。人生には想定しなかったようなさまざまなリスクがあるものだ。その時々の状況に応じて、自分の身の丈にあった住居に住み替えていくには、賃貸住宅は利用価値が高い。

もちろん、高齢になると、賃貸住宅に申し込んでも、年齢を理由に入居を断られるケースが増えるのは事実である。しかし、それも「いま」という時代において事実、というだけのことだ。

人口減と高齢化が進む日本では、今後も空き家が増え続け、「貸し先」に困ったマンション所有者の多くが、高齢者(や外国人)の入居を拒むどころか、廉価で賃貸する社会がやってくるだろう。

ローン完済後に、老朽化した建物の維持管理に頭を悩ます必要もなく、家賃は住むための「必要コスト」と割り切れば、考え方も劇的に変わってくるはずだ。

こうやって考えてみると、マンションは賃貸資産として考えるのが一番自然かもしれない。

買って住むのではなく、借りて住む。または所有して人に貸して運用する。一定年限のなかで確実に収益を上げ、建物の償却を享受すれば、賃貸資産としては決して悪い資産ではない。

そのためにはやはり都心部で交通利便性の高いマンションが賃貸用としては優位になる。マンションは立地のよい賃貸用資産、という概念が実はこれからの「常識」となるのかもしれない。

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人口減少と高齢化を背景に、国のあり方が大きく変わろうとしています。定年までの安定雇用で住宅ローンを返済し、静かな老後生活へ、という人生は、とっくに過去のものとなりました。家を買うのか借りるのか、どこで、どんなふうに暮らすのが幸せなのか。これからは一人ひとりが新しい時代の「住まい方」を考える時代。現代ビジネス編集部はこのたび、特設サイト『住まい方研究所』を開設しました。皆さんが住まい方を考え、選ぶための役に立つ情報を、さまざまな視点からお届けして参ります。