不動産

「賃貸は家賃を捨てるだけ、持家は将来資産になる」はフェイクだった

タワマンは“砂上の楼閣”なので…
牧野 知弘 プロフィール

価格の「4分の3が建物代」

ひるがえって、現代社会においてごく一般的な居住形態となったマンションに、はたしてどの程度の不動産価値があるのかを考えてみよう。

数年前に都内湾岸エリアに分譲された、あるタワーマンションを事例として取り上げる。

□敷地面積   5800坪
□建物面積   3万6500坪
□総戸数    1100戸
□平均住戸面積 23坪(約76平方メートル)
□平均分譲価格 約7000万円(坪当たり単価304万円)

このマンションの価格構成はどのようになっているのか推測してみる。

 

まず、周辺の土地の取引価格から推定して、土地代は坪当たり350万円程度と見込まれる。敷地は5800坪だから、土地全体では約200億円だ。建設費は、当時の相場から坪当たり約110万円程度とすると、建物面積が3万6500坪なので約400億円。この土地建物原価に、一般的な諸費用(分譲利益を含む)分約30%を加算すると、総額は約780億円になる。

建物全体の面積のうち共用部等を除く住戸部分の面積の割合を仮に70%とおくと、住戸部分の面積は2万5500坪。これを戸当たり平均23坪で売り出すとき、総戸数は約1100戸となる。戸当たり約7000万円で売却すれば売上は約780億円。原価から導き出した金額とぴったり一致する。マンションの価格構成はおおむねこんな構造になっているのである。

巨大なタワーマンション群巨大なタワーマンションだが、土地の持ち分で考えるとたった5坪ほど…。 photo by iStock

これを1戸あたりの資産価値として考えてみよう。

敷地面積は5800坪と広大な敷地だが、1100戸も分譲されているので、1戸当たりの持ち分はわずか5.3坪程度となる。土地代は坪当たり350万円だったので、1戸当たりの土地の持ち分評価額は1855万円(350万円×5.3坪)だ。

残りが建物代とすれば、販売価格の7000万円から差し引いた5145万円ということになる。土地建物の比率で考えると、土地比率が26.5%、建物比率が73.5%。つまり、このタワーマンションの資産価値は、そのほとんどが建物代ということになるわけだ。

不動産価値の源泉は土地にある、と冒頭で書いたが、購入総額のほとんどが建物代にあてられるマンションに、不動産価値はあるのだろうか。