不動産

「賃貸は家賃を捨てるだけ、持家は将来資産になる」はフェイクだった

タワマンは“砂上の楼閣”なので…
東京オリンピックの競技会場に近い、江東区湾岸部の高級タワーマンションが人気だ。1000戸以上の新築が1年もしないうちに完売するという、驚異の売れ行きだという。購入者からは、立地や価格を考えれば「お得感がある」との声も聞かれるが、本当だろうか。ベストセラー『2020年マンション大崩壊』(文春新書)の著者、牧野知弘氏に聞いてみた。
 

「建物は有限、土地は永遠」という真理

不動産事業に長く関わってきて強く思うことがある。土地は劣化しないということだ。

たとえば東京都中央区銀座の土地。銀座の地価は、景気の状況を敏感に反映して変化する。中心部の四丁目付近では、ここ30年くらいの間でも、現在のように坪当たり1億円を超える値段をつける時代があれば、3000万円台まで下落したときもあった。それでも土地は変わらず銀座に存在し続けている。

土地はこの世から消えてなくなることはない。価格はその時代時代の気配を表象するだけのものにすぎない。所有し続ける意思があるのならば、銀座四丁目という土地の持つ効用は変わらずに享受できるのである。

建物はどうだろうか。古代ギリシアのアクロポリスに建設されたパルテノン神殿。紀元前438年に竣工したとされるこの壮大な宮殿は、いまでも古代ギリシアの繁栄を物語る遺跡として見学する人たちの心を鷲掴みにしている。しかし、神殿自体としての使用価値はとうの昔に失われている。

ギリシア・パルテノン神殿ギリシア・パルテノン神殿。その神殿としての使用価値は失われている photo by iStock

建物の命は有限なのだ。会計上でもこのことは明確に定義されている。建物は有限であるがゆえに「減価償却」され、最後にはほとんど価値のないものと判断される。

もちろん、これは会計上の都合によって定めたルールなので、償却期限が過ぎたからといって建物が使えなくなるわけではない。したがって建物寿命という概念とは基本的に異なるものだが、建物が「有限」の存在であることに変わりはない。

どんなに立派で美しい建物であっても、建物は年がたつにつれ、老朽化していく。その時代の最新鋭の設備を具備していたとしても、設備自体の老朽化、技術の進歩などで設備として持つ価値は次第に減じられていく運命にある。

いっぽう、土地は永遠の存在だ。たとえ地震や津波で上部にある建物が流されたとしても、津波がひいたあと、土地は再びその姿を現し、存在価値を主張し続けることができる。不動産価値の源泉が土地にあることは、こうした歴史が証明していると言っても過言ではない。