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「ネット右翼」は日本に何万人いるのかを測る、ひとつの試み

彼らの職業、年齢構成は?
古谷 経衡 プロフィール
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この選挙を控えた同年7月、主に日本維新の会から分派して「次世代の党(現・日本のこころを大切にする党)」が結成された。同党は「自民党よりも右」を標榜して、ネット右翼に圧倒的な人気を誇った田母神俊雄元航空幕僚長などを擁立し、積極的にネット右翼層への浸潤を図った。ネット右翼の持つ思想的傾向を、初めて国政レベルで代弁する党こそが、この「次世代の党」であった。

総選挙の結果、「次世代の党」は比例代表で総得票数約141万5000票を獲得したものの、公示前の19議席から17議席を減らして2議席となる壊滅を喫した。

一方で筆者は当時、同年1月に行われた猪瀬直樹東京都知事辞任を受けての出直し都知事選挙で、ネット右翼から圧倒的な支持を集め立候補した田母神氏が約60万票を獲得したことを受け、ネット右翼が首都圏に偏重していることを加味して、ネット右翼の全国的実数をおおむね200~250万人と予想していた。

「次世代の党」の総選挙における比例代表総獲得票数も、投票率が50%強であったことを加味すると、やはりその支持層の全体は概ね200〜250万人として差し支えなく、この選挙においてはじめて、ネット右翼の全国的実数の概要が判明したのである。

 

減っているわけではないが…

続く2016年7月の参議院通常選挙において、既に党勢がかたむきつつあった「次世代の党」は、「日本のこころを大切にする党」と名を変えたが、全国比例区における総得票数は約73万4000票と半減してしまった。しかし、この間約2年弱でネット右翼の実数が半分になったのかというとそうではない。ネット右翼の全国的実数が約200〜250万人であることはむしろ補強されたのである。

というのも、「日本のこころを大切にする党(旧次世代の党)」が2014年衆院選における比例総得票数を半減させた分、ネット右翼の投票行動は彼らが個人的に嗜好する保守系言論人・文化人への投票に向かったからだ。

例えば同参議院選挙で自民党から立候補した、元共同通信記者の青山繁晴氏は、ネット右翼から圧倒的な支持を集める保守系言論人・文化人の筆頭格に位置づけられるが、自民党個人名得票堂々第2位の約48万票を獲得する。

さらに「旧次世代の党」から自民党に転属した山田宏氏が約15万票、「日本のこころを大切にする党」から「おおさか維新の会」に復帰した三宅博氏は約2万票を獲得した。これら「旧次世代の党」の立候補者に対する個人獲得票数を合わせると、結局、138万9000票と、2014年におけるネット右翼層の投票総数と大差ない数になる。

つまり「旧次世代の党」の得票が半減した分、他のネット右翼が好む立候補者の個人票に流れたのである(表2)。

表2 2014年衆院選、2016年参院選におけるネット右翼層の投票行動分析
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