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「95%が効果を実感」健康食品のあの数値に潜む落とし穴

市場が拡大する今だからこそ言っておく

健康食品・サプリに依存する人々

今月初め国民生活センターは、特定健康用食品(トクホ)の青汁など健康食品の摂取による薬物肝障害の事例が、2014年以降9件あったことを発表した。

健康食品が原因で健康被害とは、何とも皮肉な結果であると言うしかない。これ以外にも医師によって情報提供のあった疑わしい事例は200件近くに及ぶという。

いつからだろうか、テレビをつければ、毎日のように健康食品やサプリメントのCMのオンパレードである。セサミン、グルコサミン、コンドロイチンなどと、まるで健康の呪文か何かのように、日々これらの舌を噛みそうな名前が、何度も何度も繰り返される。

超高齢化社会を迎えて、健康への不安、いつまでも若く美しくありたいという希望、こうした中高年の心理を背景にして、健康食品やサプリ業界は膨張の一途である。

矢野経済研究所の調査では、2016年度の健康食品市場は、前年度比100.9%の7,500億円に達したという。

 

30代以上の男女約1,000人に行ったアンケート調査によれば、関心のある健康食品の内訳は、「内臓脂肪対策」「中性脂肪対策」「コレステロール対策」「整腸」「疲労感軽減」「アイケア」「体脂肪対策」「血圧対策」「骨の健康維持」と続く。

特に2015年、トクホに加えて、食品の機能性の表示が可能になった「機能性表示食品」制度が始まったこともこのブーム後押ししている。

消費者庁の調査では、これらの健康食品をたまに利用している人とほぼ毎日利用している人をあわせると、6割にも上るという。

多くの人々がここまで健康食品やサプリメントを求める様子は、さしずめ「健康食品依存症」「サプリメント依存症」とでも形容できる状態である。

とはいえ、明らかに害のある違法薬物などへの依存と違って、益があるものが対象であるのだから、これらに「依存」することには、一見大きな問題はないように思える。

果たしてそうだろうか。

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心を動かす華々しい宣伝

CMでは、「体脂肪を減らす」「ダイエットに最適」「つらい膝と腰に」などという謳い文句があふれている。そして、それを一層派手に後押しするのが、使用者の声である。

「これだけで体重が5㎏も減りました!」「階段の上り下りが苦にならなくなりました!」などという喜びの声が語られる。あるいは、「95%の人が効果を実感」などという「データ」が挙げられていることもしばしば。

元々、体重が増えた、健康診断の数値がよくなかった、膝が痛い、などという健康不安を抱えている人々は、毎日のように耳にするこれらの広告に、さぞ心が動かされることだろう。

病院に行くほどではないが、このままではよくないから何かしたほうがよいとは思っている。運動がいいのはわかっているが、もう何年も体を動かしていないし、何よりも面倒だ。カロリーを控えればよいのもわかっているが、それができれば苦労はない。

そういう人々にとって、健康食品やサプリなどの摂取はハードルが低い。

毎日のように聞こえてくるCMは、いかにも効果がありそうな魅力的なメッセージで溢れているし、何よりも実際に使った人が「効果があった」と言っているのだから、論より証拠だと思っても仕方がない。こうして、あれよあれよという間に、7,500億円市場にまで拡大したというわけだ。