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「コイツには何言ってもいい系女子」戦略がハラスメントを加速させる

「自虐」が「自滅」を生んでしまう
中野 円佳 プロフィール

スキルについては、2つの問題がある。1つ目は、まず女性の方が過去辞めやすかったからなどの“統計的差別”等により、男性よりも成長機会を与えられておらず、実際にスキルが低くなっている可能性があること。

そして、2つ目は、仮にスキルがまったく同じだったとしても、女性や、欧米におけるアジア系、アフリカ系などマイノリティが低く評価されるという“無意識の偏見”の問題だ(ギンカ・トーゲル『女性が管理職になったら読む本』など)。

 

「コイツ系女子」が得策ではない理由

私は、ナナさんや他の人の話を聞いて、これらの3つの観点で、彼女たちの演じている女子像は、やはりあまり得策ではない生存戦略だと思う。

まず、いじりOK、下ネタOKにしたところで、名誉男性としてそのネットワーク内の“仲間”に受け入れられているかというと、話を聞く限り、必ずしもそうではない。あくまでも女性側はいじられる側であっていじる側には立つことはない(名誉男性として特別扱いされればそれでいいかというとそれはそれで課題があるがここでは触れない)。

敵でないことを示すために卑下して振りまく自虐ネタは、自分の自信や意欲をすり減らし、相手からの評価を下げるだろう。“無意識の偏見”どころか、意識的に成長機会や昇進機会を減らされる可能性がある。

日本企業の間に「ダイバーシティ」という言葉は定着しつつあるが、海外や先進企業では、単に多様性があることだけではなく、その多様な個人がそれぞれに尊重され、自分らしい価値を発揮できる「ダイバーシティ&インクルージョン」が目指されている。自分をありのままに認めてくれる、反対意見を言えるなどの“心理的安全”が高い企業は生産性が高いという指摘もある(青島未佳ら『高業績チームはここが違う』など)。

天性の性格でそのまま受け入れられるというケースももちろんあるだろうが、女性たちが過剰に、周囲を盛り下げないよう、嫌われないよう、「コイツには何言ってもいい系女子」を演じ、結果的に自らを傷つけている状況は、組織としてもおそらく生産的ではない。

女性たちも、空気を読みすぎて自滅する戦略に身を投じるのは止めた方がいいし、そうしなくても仕事が円滑に進むような職場が増えることを祈る。

*中野円佳さん「『コイツには何言ってもいい系女子』が密かに我が身を切り刻んでる件」シリーズバックナンバーはこちら http://gendai.ismedia.jp/list/series/nakanomadoka

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