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「コイツには何言ってもいい系女子」戦略がハラスメントを加速させる

「自虐」が「自滅」を生んでしまう
中野 円佳 プロフィール

「ベテランの人が多い職場に配属されたのですが、社内で他の人に仕事をお願いしてやってもらわないといけないんですね。でもこんな小娘からものを頼まれたくない。入社した時に『お前の仕事は、オヤジに仕事をさせることだからそのために女性性を使え』と言われて。普段から下手に出ますね。あなたのこと脅かさないから協力はしてと」

「私はあなたの敵じゃないよ、あなたと戦うような相手じゃないよ、みたいな。自分より上の女性がいるときにはより一層拍車をかけますね、あなたと競い合うような者ではありませんと示すために」。

 

前々回記事で、マジョリティがマイノリティを排除する論理について触れたが、排除されないための戦略が「下手に出る」だ。ナナさんは同じ女性に対してもこの戦略を使っており、また男性同士でもこうした“ロールプレイ”は大なり小なりあるだろう。これで円滑に仕事がまわるのであれば良さそうな気もするが、ナナさんは「消しゴムのように自分が減っていく感覚がある」と言う。

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「私は受け流せる性格で、こういう感情労働をして、仕事上のリターンがあれば『まぁいいか、我慢代だ』と思っていますが、それでも生存戦略まちがえたかなと思うことはありますね。でもどうしたらよかったのか。それ以外の生き延び方もわからない」と話す。

下ネタOK女子

「男性文化」に合わせる行動の中で、象徴的なのが、セクハラに対する反応だ。ナナさんの職場は、セクシャルなことはあまり話題にならないというが、ヒアリングした女性の中には、明らかにセクハラに引っかかることを言われても、怒らず、むしろ笑いの取れる切り返しをするというケースがあった。

そうした会話を本人も楽しんでいるのかと思いきや、「それが私の自然体ではないので、頭フル回転でコメントしています」という。「頭フル回転」のコメント返しが、おそらく、返されたほうからすれば「この子は下ネタOK」な認定につながるだろうし、場合によってはむしろ喜んでいるように見えて、どんどんセクハラ発言が助長されている可能性がある。