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大手芸能事務所に支配された「平成テレビドラマ全史」

日本のドラマがつまらなくなった理由②
田崎 健太 プロフィール

また、視聴率の取れる「俳優」については、時間的な制約も大きいと西岡は言う。

「現場スタッフは腫れ物に触るように、『忙しい中、よく来てくださいました』という態度。そして、9時に来たのに『今日は絶対に10時に(現場から)出してくれ』というような要求がマネージャーからある。そんな中で芝居なんかできないですよ。単に『芝居らしきもの』をやっているだけ。現場は作品の質を上げることよりも、いかに俳優の機嫌を損ねないかということばかり気を遣っている」

かつて連続テレビドラマには、4クール1年間、あるいは半年間という長編の作品も多かった。しかし、現在はほとんどが1クール3ヵ月になっている。これも撮影で長期間拘束されることを嫌がる、プロダクションと俳優側の都合だという。

 

「こちらからすれば仕事があるんだからいいじゃないか、と思うんですけど、知名度のある役者にとっては嫌みたいです。ですから、テレビ局も3ヵ月ごとに新しい企画を出さなきゃいけない。どう考えても追いつかないから、安易に漫画や小説を読んで原作になりそうなものを探そうとする」

登場人物を「テロップで説明」

また題材についても、事務所やプロダクションがスポンサーの意向を「忖度」する傾向があると西岡は続ける。

「これはぼくの経験なんですが、例えば戦争物のドラマをやるとき、最近は出演交渉しても断られてしまう。単なる反戦平和を唱えるだけならばともかく、戦争を背景に人間のいろんな面を描くとなると、入り組んだストーリーになってしまう。そういうのは軒並みNG。

ある時、女優さんに4人も5人も出演を断られたので、どうしてだろうと思って調べて見ると、スポンサー絡みで『思想的な色を出したくない』という。それがCMの契約に含まれているのか、あるいは自己検閲なのかは分かりませんが。

売れっ子であるほど、テレビCMに出ているので、複雑なテーマの作品には出てくれない。視聴率も期待できないから、結局、こんな企画はやめようという話になる」

さらに大人の鑑賞に堪えないドラマが多くなった原因として、脚本家の坂田義和は、演出方法がどんどん幼稚になっていることを指摘する。

「あるシーンで、女性2人が喫茶店で話をしているとします。脚本家のイロハとして、この2人はどんな関係性なのか、いかに説明的にならずに視聴者に分かってもらえるかが大切。2人が姉妹ならば『お姉さん』という言葉を台詞のどこで入れるか考えるわけです。

ところが、今のドラマではいきなり『誰々の妻・○○』というように、画面にテロップが出て来る。そのくらい、テレビ局は視聴者を馬鹿だと思っている。全部文字で説明するのがいいドラマなんだと。プロデューサーというのはそういうことばかり考えている」