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日本のドラマがこの10年で急速につまらなくなった、本当の理由

こうして「良質な作品」は消えた
田崎 健太 プロフィール

「一番の問題は、キャスティングの主導権がテレビ局でなく、大手のプロダクションにあること。芝居が出来るか、出来ないかなんかどうでもいい。このタレントでこういうストーリーで行きたい。いわゆるプロダクションによる『行政』で決まっていく。BSのドラマが顕著なんだけれど、一部の大手プロダクションの息の掛かった俳優ばかりキャスティングされている」

プロダクション主導でキャスティングが決まっていくことは、関係者の間では「行政」あるいは「事務所行政」と呼ばれている。

キスさえ「事務所NG」が入る

本来、キャスティング――配役は、ドラマの根幹に関わるものだ。

アメリカやヨーロッパの映画、長編テレビドラマではまず脚本があり、その配役を決めるためのオーディションが行われる。有名無名を問わず、俳優はそのオーディションを受けて、その役柄に合うかどうかを制作者側に判断してもらうことになる。

前出のプロデューサーは、冷ややかな口調で言う。

「だから、日本とどんどん差が開いていく。アメリカの場合はいい役柄を掴めば、スターになれる。だから俳優も努力する。しかし、日本の場合は役柄に合っていようがいまいが関係ない。プロダクションの力関係で配役が決まるから。

よくある設定に、自信なさげで地味な女の子が、眼鏡を取るとすごく綺麗だったというパターンがある。でも、そもそも日本のドラマでは明らかな美人を配役しているので、ストーリーに説得力がなくなる」

 

さらにプロダクション側から、あらかじめ役柄について規制が入ることも多い。

「キスシーンからして『事務所NG』が入る俳優が多い。若い子ならばともかく、ある一定以上の男女を描くのにキスシーンが駄目というのはどうかしている。さらには上半身裸NGなんていう男性俳優もいる。別にわざわざ脱がしたいというのではなく、物語の筋で仕方なくそういうシーンになるのも駄目。30歳を過ぎたそんな男性俳優が主演を張っている国は、世界中探しても日本くらいしかない」

こうしたプロダクションの指示によって、現場で脚本が書き直されることも日常茶飯事だという。

「例えば、ある俳優の出番が少ないというクレームがその所属プロダクションから出て来ることがある。そうなると、その俳優の出番を増やさなくてはならなくなる。そこで、本来登場人物が一対一で向き合う緊迫したシーンが、一対二になる。

そうすると、今度は別のプロダクションから『あちらの出番が増えたならば、こちらも増やしてくれ』という話が来て、結局一対三になってしまう。そういうことが繰り返されて、面白いものが出来るはずがない。まともな作品を観たい人は日本のテレビドラマを見なくなる。当然、視聴率が落ちていく」