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住宅ローン「契約後の金利上昇」という落とし穴にハマる人

住宅ローンを極める⑤

金利が低いからと新築マンションを買ってローンを申し込んだのに、実際に適用された金利は当初の見込みよりはるかに高く、銀行から借入額の減額を迫られ、やむを得ず売買契約を解約せざるを得なくなった――。

10年ほど前に相次いだそんなケースが再び起きかねない状況が近づきつつある。どういうことなのだろうか。

金利上昇で買えなくなった…!

意外に知らない人も多いようだが、住宅ローンの金利は、原則的に申込み時に確定するわけではない。通常、マイホームを取得するときには、まず買契約前に住宅ローンの申込みを行う。

そのあとで融資の審査に合格してから売買契約を締結するわけだが、その時点でローン契約を結ぶわけではない。あくまでも融資予約だ。

売買契約後、新築なら建物が完成するのを待って、また中古なら売主が退去してから引渡しを受けることになる。そこで正式に住宅ローン契約を締結、融資の実行を受けて融資金を受け取り、購入代金の決済を行って、晴れてマイホームがめでたく自分のものになる。

住宅ローン金利は、この融資実行時の金利が適用されるのだ。

 

問題は、売買契約・融資申込みと、代金決済・融資実行との間にはタイムラグがある点だ。このタイムラグが大きければ大きいほど、金利が変化するリスクが高まる。申込みから実行までの間に金利が下がっていればラッキーだが、現在のような超低金利であれば、金利が下がるよりも、上がってしまう危険性のほうが断然高い。

この金利上昇によって、マイホーム計画が挫折したり、返済額が増えてバラ色のマイホーム生活が、灰色になってしまうことだって想定されるわけだ。

日銀による低金利政策が続いているため、金利が上がると聞いてもピンとこないかも知れないが、1990年前後のバブルのピーク時には、1年間で2.0%も住宅ローン金利が上がったし、2000年代当初のミニバブルと呼ばれた時期にも、大幅に金利が上がったことがある。

図表1は住宅金融支援機構と民間提携のフラット35の金利推移だが、2005年から06年にかけて1.0%ほど上がっている。

民間の変動金利型や固定期間選択型の住宅ローン金利はもっと上がり、申込み時には1%台の前半だったのが融資実行時には3%近い金利になったローンもあった。

新築マンションでは、完成の1、2カ月前に入居説明会が行われ、金融機関の担当者がやってきて、正式な住宅ローン契約の準備を行う。その段階で、金利上昇によって当初予定していた金額を借りられなくなるケースが続出したのだ。

結果、売買契約を解約して、マイホームを見送らざるを得なくなった人も多かった。

新築マンションの場合、多くは売買契約書に「ローン条項」があって、予定通りにローンを借りられなかったときには、契約はなかったことにできるので、手付金は返ってくるが、それまでの時間、手間ヒマが無駄になり、ゼロからのスタートを強いられる。

いや、ロスした分だけ、マイナスのスタートになるといってもいいだろう。

何とか計画を続けることができても、返済額が2万円も3万円も増えて、購入後の生活が格段に厳しくなってしまったという人もいた。

つまり、マンション価格が上がり、金利は上がったのに、収入は増えなかったため、冒頭のようなたいへんな問題が起きたわけだが、物件価格は上がっているのに、収入は増えそうで増えない――これに金利上昇が加われば、昨今の環境はピッタリ符号する。リスクは徐々に高まっているのはまちがいない。