スポーツプレミア

村田諒太の「ダイレクトリマッチ」にはどうしても一言いっておきたい

せめてやるなら敵地フランスで
近藤 隆夫 プロフィール

ダイレクト・リマッチへの疑問

さて、村田諒太の次戦も決まった。10月22日、両国国技館で、前回敗れた相手アッサン・エンダム(フランス)と再戦を行う。正直なところ、これはちょっといただけない。

5月20日、有明コロシアムでの試合は、私の採点では村田の勝ちだった。でも過去のジャッジ例を見れば、勝敗が逆になることも有り得ないわけではない。にもかかわらず、WBA会長のヒルベルト・メンドサ・ジュニア会長は、こんな声明を出している。

「私の採点では村田が117-110で勝っていた。村田諒太と帝拳プロモーション、日本のファンにお詫びしたい。このひどい決定のダメージをどう回復させたらいいか、言葉が見つからない」

 

そしてメンドサ会長は、エンダムvs.村田の再戦を指示したのだ。WBAは基本的にダイレクト・リマッチを禁じているにもかかわらずである。加えて、エンダム優位と採点したジャッジ2人に6カ月間の資格停止処分まで科した。
 
果たして、村田が弱小ジムの所属選手であったならば、メンドサ会長がこのようなメッセージをわざわざ発しただろうか。ボクシング界で力を有する帝拳プロモーションへの気遣いとしか私には思えなかった。
 
おそらくはリマッチのジャッジには忖度が働くことだろう。村田に優位になるよう採点をしなければ自分たちも処分されてしまうとの危惧から。
 
村田はエンダムとの再戦の道を選ぶべきではなかったと思う。ミドル級最強の男、WBA世界スーパー王者であり、WBCとIBFのベルトも保持しているゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)に果敢に挑むべきだった。世界のベルトを腰に巻けばいい、という時代は、すでに終わっている。エンダムと再戦するにしても、少なくともフランスに乗り込んで闘ってやるという男気を見せるべきではなかったか。
 
ロンドン五輪金メダリストの肩書きによって多くのスポンサーに守られてきた村田よりも、その才で道を切り拓き、世界の舞台に打って出ようとしている井上の方が、私には、はるかに輝いて見える。