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メディア・マスコミ 戦争

日本人は戦争をどのように「消費」してきたか〜注目すべきある変化

72年間の「ポケットの中の戦争」

戦争イメージの消費

今年も8月15日がやってくる。さまざまな問題はあれ、これで72年の間、少なくとも直接、日本には戦渦が及ばなかったことになる。

だが、それは「現実」の話である。日本が戦争から隔離されてきたこの期間、マンガやアニメを中心とするサブ・カルチャー的イメージの世界では、数限りない戦争が戦われてきた。

そうしたイメージは、現実の戦争がなかったことの代償、さらにいえば、戦争にかかわらないための「護符」としてあったかのようさえみえる。

ではなぜ、またはどのように日本社会は、戦争をくりかえし描き、そしてそれは何を社会にもたらしたのだろうか。

 

戦争ブームはこうして始まった

なぜという問いには、ここでは残念ながら詳しくは答えられない。ひとつだけ注意するとすれば、戦争物の流行が、1950年代なかばから60年代にかけての少年少女向けのメディアの発展に深くかかわったことである。

出版の領域では、50年代なかばには貸本、その後、50年代末からは週刊化されたマンガ雑誌が急速に普及する。

映像の分野では、1958年には『白蛇伝』が戦後アニメ映画史の先鞭をつけ、1963年には『鉄腕アトム』のテレビ放送が始まり、アニメの視聴者を拡大した。

戦闘場面を目玉として描く戦記物は、こうしてマス化したメディアのキラーコンテンツになった面が強い。

そもそも敗戦後、戦争を描くマンガや読み物は子どもには自由には届かないものになる。当初は検閲のためでもあるが、加えて親たちが、子どもの「娯楽」の享受に目を光らせたためである。とくにマンガがブームになるにつれ、親たちはそれを目の敵にし、そこに「不適切」な内容が描かれていないことを求めた。

しかしそれをすり抜け、1950年代なかば以降、戦争を扱うマンガは1957年には37件、1958年には132件と急増する。当初は貸本の点数を補う粗製乱造の嫌いを否定できないが、それが落ち着いた60年代にも平均27.1件と、70年代なかばまでブームは続く(図1)。

またテレビでも、『0戦はやと』(1964)や『忍者部隊月光』(1964~66)、『コンバット!』(1962~67)など戦争を主題とするアニメやドラマが放送され、親たちに批判されつつも、子どもたちを熱狂させることになる。

その追い風となったのが、私見では子どもの消費者化である。