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ドイツメディアが仏大統領「マクロン」を褒めちぎりだしたのはなぜか

その自信、まるで皇帝…

プーチンのように堂々と

7月3日、フランスの新大統領マクロンが、一人、皇帝然と、ヴェルサイユ宮殿の長い回廊を歩いてくる映像には、腰を抜かしそうになった人も多いのではないか。左右には、羽根飾りのついた黄金の兜に、赤、黒、白の華やかな衣装をまとったフランス共和国親衛隊が、一糸乱れず整列している。全員、鞘から抜いたサーベルの刃先を、キッと天井に向けたまま。

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どこかで見た光景。そう、プーチン大統領がクレムリン大宮殿で、ときどきこのような煌びやかなシーンを演出する。しかしこのヴェルサイユ宮殿の映像は、完璧にその上をいっている。

マクロン氏は5月14日に大統領に就任した。そしてその翌日、すぐさまベルリンを表敬訪問している。

ドイツ国民のあいだでの人気は高かった。メディアが全面的にマクロン派だったこともあり、ドイツ国民は素直に、国民戦線のル・ペン党首が当選しなくて良かったと胸をなで下ろしていた。そして、この若き新大統領が、勝利の翌日にベルリンに飛んできたことには、とりわけ気分を良くしていた。

このときの報道は興味深い。マクロン氏を、ドイツメディアは非常に好意的に、しかし、少し上から目線で眺めている。

 

ディ・ツァイト紙は、「決然としてはいるが、formbar(粘土のように思うような形にすることできるという意味)」と書いた。「サルコジのようにマッチョでもなく、オランドのように惨めったらしくもない」「メルケル首相にとっての完璧なパートナー」「メルケルお母ちゃん」と書いたメディアさえあった。微笑ましく、余裕で眺めているのである。確かに、年は親子ほど違う。

ただ、この新大統領が、はたしてメルケルお母ちゃんの掌に乗るかどうかは疑問だ。普通、歴代のフランス大統領は、就任式後、エリゼ宮から凱旋門に向かってシャンゼリゼ通りを大統領専用のオープンカーで走るのだが、5月14日、マクロン氏は軍用のオープンカーを使い、沿道の市民を睥睨した。かつてのド・ゴール将軍さえしなかったことだという。

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またマクロン氏は、初舞台であった5月末のNATOの会合でも、それに続いたイタリアでのG7サミットでも、実に堂々としていた。

しかも、会議を終えてパリに戻った二日後、プーチン大統領をヴェルサイユ宮殿に招待するという外交サプライズを演じ、わざとらしいほどの親密さを見せつけた。ちなみにロシアはクリミア併合以来、G8サミットから締め出されている。

この仏露会談が、EUとロシアとの関係修復という意味で行われたのか、それともマクロン氏の独断だったのかはわからない。