アメリカ トランプ

夏休みにホワイトハウスの権力をほぼ掌握した「3将軍」の評価と実力

さて、日本は渡り合えるのか…
歳川 隆雄 プロフィール

怒鳴り合いを演じていた極右派と現実派

それはともかく、これまで注目されてきたWH内権力抗争の構図は、バノン氏率いる原理主義的な極右派と軍人出身の現実派の対立であった。

ことの発端は7月18日にWHで行われたジェームズ・マティス国防長官(退役陸軍大将)とジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長(海兵隊大将)によるトランプ大統領へのアフガン戦略に関するブリーフィングであった。

その席でマティス、ダンフォード両氏はアフガンへの軍増派の了承を得るつもりだったが、いきなりトランプ大統領が「我々は勝てていない。(現地の駐留米軍責任者である)ニコルソン司令官を解任したらどうだ?」と切り出したのだ。軍増派どころか現地司令官を擁護することを余儀なくされた。

この不意打ちはバノン首席戦略官が事前に入れ知恵したことよるものと知ったヒューバート・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当・陸軍退役中将)が激怒。同日夕、バノン氏の執務室に乗り込み、スタッフを前に2人は激しい怒鳴り合いを演じたというのだ。

 

結局、アフガン戦略は7月27日に再協議することになった。こうしたことから米紙ニューヨーク・タイムズなど各メディアはマクマスター氏がトランプ大統領との関係が悪化していると報じ、同氏がアフガン駐留米軍司令官に転出し、マイク・ポンペオCIA長官が後任に座ると書いた右派メディアもあった。

「3将軍」の日本への評価は

しかし、ケリー大統領首席補佐官が誕生して事態は一変した。正式就任前から事実上の首席補佐官の役割を果たしていたこともあり、件の27日のアフガン戦略説明会では、トランプ大統領は一転してマティス、マクマスター両氏の主張を了承したのだ。

それだけではない。同日付で国家安全保障会議(NSC)のデレク・ハーヴィ中東上級部長、8月2日付でコーエン・ワトニック情報上級部長とリッチ・ヒギンズ戦略計画上級部長が解任されたのである。

ハーヴィ、ワトニック、ヒギンズ3人の上級部長はいずれも対アフガン、イラン、イラク政策で極右・タカ派で知られるバノン首席戦略官の息がかかっている人物だった。

ケリー大統領首席補佐官の支援を受けたマクマスター大統領補佐官が強権を発動したのだ。こうしたことから今後のトランプ政権の外交・安全保障政策は、ケリー、マクマスター、マティス3人の”ゼネラル(将軍)”がイニシアティブを握る。

8月17日にワシントンで日米安全保障協議委員会(2プラス2)が開かれ、両国外務、防衛担当閣僚が出席する。河野太郎外相と小野寺五典防衛相は、レックス・ティラーソン国務長官とも会談するが、理論派且つ剛腕タイプの3人の将軍たちと初めて向き合うことになる。果たして3将軍の新外相と新防衛相への評価はいかなるものになるのだろうか。