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医療・健康・食 ライフ 週刊現代

気をつけろ!「真夏のダイエット」が死を招く

脳梗塞や寝たきりにつながることも…

夏は痩せやすいから、ダイエットのはじめ時――そう思った人はご用心。流行りの横文字痩身法に飛びついて、極端な食事や運動を続けると、脳梗塞や寝たきりにつながるケースもある。

「低ナトリウム血症」が怖い

「久々に実家に帰ってきた娘に『太った?』と言われたのがきっかけで、食事制限と運動をはじめました。もともと高血圧ぎみだったこともあり、ご飯の量を減らして、塩辛いものにも手を付けないようにしました。

運動は、毎朝1時間の散歩と週1回のフィットネスジム通い。2ヵ月で体重が落ち始めたのは嬉しかったのですが……」

 

自らのダイエットをこう振り返るのは杉村奈美さん(62歳・仮名)。着実に結果が出る楽しさから、杉村さんは味噌汁を飲まない、主食は1日1食と徐々に厳しい食事制限を課すようになっていった。

7月にさしかかったころ、そんな杉村さんの身体に異変が起こった。

「朝から30度近くなった猛暑の日、いつもどおりウォーキングをしていると、急にめまいがしてきて、道路にへたり込んでしまいました。『熱中症かな』と思って日陰に移動しても、どんどん意識がぼんやりしていって、身の危険を感じたのです」

病院での診断は「低ナトリウム血症」。日ごろの塩分不足に加え、猛暑による発汗で低血圧になってしまったのだ。

くどうちあき脳外科神経クリニックの工藤千秋氏は、極端な食事制限の危険性を指摘する。

「夏は汗をかくので水分とともに多量の塩分が排出されるため、ダイエット中の人は低ナトリウム血症になりがちです。

ふらつきやしびれだけでは重篤ではないと思うかもしれませんが、血液がドロドロになり、脳梗塞を引き起こす前兆でもあるので、注意が必要です」

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杉村さんは極めてシンプルな食事制限が原因で体調を崩してしまったが、「グルテンフリー」「ヴィーガン」といった近頃流行のダイエット法でも、実践しているうちに栄養不足に陥り、夏場に疾患として身体に現れるケースがある。

今や最も人気の痩身法は、米やパンなど糖質を含む食材を避ける「糖質制限ダイエット」だろう。

静岡県立総合病院臨床医学研究センター部長の島田俊夫氏は、酷暑のなかでの糖質制限の問題点を次のように指摘する。

「糖質制限を続けていると必然的にたんぱく質や脂質を摂取する割合が増えることになりますが、これがよくない。増加した悪玉コレステロールが血管を痛め、心筋梗塞など命にかかわる疾患の引き金になりえます。

特に水分が不足しがちな夏場は、脱水による血栓症のリスクが高まるのです。

たしかに糖質を極端に制限すると体重は減りますが、そのぶん体内にある糖以外の栄養素を分解してエネルギーに代替するため、筋肉量が減少していきます。

特に高齢者の場合、食事制限のみで痩せようとすると、筋力の低下による関節障害や認知機能の悪化などを引き起こし、最終的には寝たきりになってしまう可能性もあります」