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実父が蒸発…『ひよっこ』沢村一樹の知られざる「極貧」少年時代

鹿児島に住む実妹が初めて明かす

「お前が母さんの悪口を言うな!」そう父に叫んだこともあった。女手ひとつで育ててくれた母と、いなくなった父。劇中の実と同じように、上京した沢村の胸には、ずっと家族への思いがあった。

借金を残して消えた父

「たしかに『ひよっこ』のストーリーと現実が重なっている部分はあります。私たち親子は4人で小さなアパートに暮らしていましたが、父はほとんど家に居ない人でした。母から聞いているのは、女性関係が原因だったようです。

私には父の記憶があまりないんです。たまに家にいると、すごく遊んでくれた記憶がある程度。一方で兄は私よりも父の記憶があると思います。

父は背が高くルックス的にもモテるタイプだったようです。鹿児島市内の生まれで、九州男児というか亭主関白な人でした。母によれば、嫌いな漬物が食卓に並んだくらいでちゃぶ台をひっくり返すような人だったと。

母は種子島出身。二人は恋愛結婚で、どちらかといえば母が父のことを愛していたと思います。ちなみに兄は母似です」

こう話すのは、俳優・沢村一樹(50歳、本名・野村耕蔵)の4歳年下の実妹である野村真美さん。

沢村といえば、現在、NHKの連続テレビ小説『ひよっこ』で、有村架純(24歳)演じるヒロイン・谷田部みね子の父親役を熱演している。

7月29日放送の第102話では、失踪した父とみね子が再会を果たす。が、父は記憶喪失に陥っていたことが判明する。

同志社女子大学情報メディア学科教授で、元毎日放送プロデューサーの影山貴彦氏は沢村の演技をこう称賛する。

「特に雨の中、泣きながら佇むみね子に傘を差してやるシーンがとても良かった。沢村さんは何とも言えない当惑した表情で、申し訳なさそうな気持ちと、娘を愛そうという複雑な気持ちを絶妙に表現していた」

有村架純Photo by GettyImages

ドラマで沢村が演じる父・谷田部実は沢村の実人生とリンクする部分がある。鹿児島県鹿児島市で生まれ育った沢村も、少年時代に実父が突然、蒸発するという経験をしている。

しかも父は多額の借金を残していたのだ。

妹の真美さんが続ける。

「借金の原因は、知人の保証人を引き受けたことでした。人が良いタイプだったみたいです。父が背負った借金は2000万円とも3000万円とも聞いていました」

 

父の胸ぐらをつかんだ日

父の借金により少年時代は極貧生活を送っていた。沢村が小学5~6年生まで暮らしたアパートは6畳と4畳半の二間で、風呂なし。部屋は妹と共同だった。そのアパートは今も残っている。

「借金取りがアパートに来ることもありました。母は化粧品販売員の仕事をしていましたが、勤め先にも押しかけてきて、給料を持っていかれたこともあったとか。でも母は逆に立ち向かっていましたね。

母は仕事で留守のことが多かったので、子供の頃は兄妹だけという生活でした。でも、私は借金取りが来ても心細い思いをしたことはありません。私の近くにはいつも兄がいてくれましたから。『俺が真美を守る』って。

『ひよっこ』は本当に現実と重なる部分が多いんです。ドラマでは家族のために出稼ぎに行きますが、実際、兄は上京してからずっと母に毎月仕送りをしています。

ドラマ内で出稼ぎ先のボロアパートで膝を抱えているシーンを見た時、兄と二人で過ごした幼い時代を思い出して、涙が出ました。兄はどんな心境だったんだろうなって。兄は私にとって、父代わりでもあり、母代わりでもありました」(真美さん)