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米朝衝突のXデーとして浮上する「9月9日」の深刻度

核実験リスクと、トランプが漏らした本音
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以上である。最も重要なのは、トランプ大統領の口から、初めて「9月9日」という具体的な「Xデー」の候補が示されたことである。

北朝鮮の動向を追い続けるソウル在住ジャーナリストの金敬哲氏が解説する。

「北朝鮮は昨年9月9日の建国記念日に、5度目の核実験を行っています。北朝鮮はこれまで、長距離弾道ミサイルの発射実験を行って2~3ヵ月以内に、必ず核実験を行っていることから見ても、今年の建国記念日に合わせて6度目の核実験を計画しているものと思われます。

5度目の核実験の際、北朝鮮当局は『弾道ミサイルに装着できるようにした核弾頭の性能を確認した』と発表しています。今回準備している6度目の核実験は、いよいよICBMに搭載する核弾頭の最終実験となることでしょう」

すなわち北朝鮮は、6度目の核実験に成功した暁には、「クリスマスのアメリカを直撃できる核兵器」を手に入れることになる。これはトランプ大統領としては、看過できるものではない。

青くなった安倍首相

この電話を受けて、安倍首相は慌てて対応に追われた。安倍首相に近い人物が明かす。

「総理は当初、内閣改造について違う人選を考えていた。ところがトランプ大統領との電話会談の後、総理は青くなって、トランプ大統領を強く意識した『有事対応内閣』にシフトしたのだ。

例えば、有事の際の厳しい国会追及に対応するため、巧みな国会答弁で知られる小野寺五典元防衛大臣を、再び防衛大臣に起用した。

外務大臣にも、米ジョージタウン大学卒業で、中国と韓国にも「河野談話」でイメージがよい河野太郎元行革担当大臣を抜擢した。

逆に、経産大臣として復活させようとしていた『盟友』の甘利明元経済財政担当大臣は、トランプ大統領が脱退を宣言したTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の立て役者のため、急遽入閣リストから外した」

 

北朝鮮は、昨年の建国記念日の前日(9月8日)に、平壌で建国68年の中央報告大会を開いている。そこには金正恩委員長は出席していないが、朝鮮労働党と朝鮮人民軍の幹部が勢揃いしている。

また同日、180万平壌市民は、万寿台にある金日成・正日親子の巨大な銅像に献花したり、金日成広場でダンスパーティに興じたりしている。

そんな中で、もし本当にアメリカ軍による空爆が行われれば、平壌はパニックに陥るに違いない。そしてそのまま〝米朝開戦〟となるリスクが高まる―。

残念ながら現実は、この悪夢に向かって、着々と進んでいる。

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トランプ大統領に近いグラム上院議員(共和党)は、8月1日にNBCテレビの報道番組『トゥデイ』に出演し、最近トランプ大統領が語っていたというセリフを披露した。

「北朝鮮が、このままアメリカを標的とする核弾頭を搭載したICBMの開発計画を続けるのなら、アメリカは北朝鮮との戦争も辞さない。

戦争をやるとしたら、こちらではなく向こう(北朝鮮)でやる。大勢が死ぬことになるだろうが、死ぬのはこちらではなく、向こう側なのだ」

グラム上院議員は、トランプ大統領のこの言葉を紹介した後、次のように警告した。

「トランプ大統領は、(北朝鮮との開戦に)本気だと確信している。中国もそのことを考えて、対策を取ったほうがよいだろう」