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東芝の上場廃止問題が、まるで「ババ抜き状態」になってきた

これは前代未聞の珍事だ

まるで監査法人に責任があるかのように

経営危機に直面している東芝の、2017年3月期決算の有価証券報告書の提出期限が8月10日に迫ってきた。

東京証券取引所の上場廃止基準では、監査報告書の「法定提出期限の経過後1カ月以内に提出しない場合」、上場廃止になると定められているが、東芝は金融庁の許可を得て期限を延長している。その期限がやってくるのだ。

東芝が有価証券報告書を提出できずにいるのは、監査法人から決算書の内容が正しいことを証明する「監査意見」が得られないため。東芝側は「決算はできているのだが、担当のPwCあらた監査法人が、意見を出そうとしない」(社外取締役)と監査法人側に問題があると言わんばかりだ。

 

監査法人は昨年12月になって突如として表面化した米国の原子力子会社の巨額損失が、実際にはそれより前に計上されるべきだったのではないか、として過去の決算のやり直しを求めている模様だ。それを認めて、過去の決算を修正すれば、粉飾決算を自ら認める格好になるだけに、東芝としては受け入れられないわけだ。

PwCあらたには各方面から監査意見を出すよう圧力がかかっている。あらたとしては、決算が正しくないとする「不適正意見」を出すか、昨年の第4四半期に続いて「意見不表明」という結論を出す見通しである。

上場廃止条件は満たしているが

東証の上場廃止基準には、監査報告書に「『不適正意見』又は『意見の表明をしない』旨等が記載された場合であって、直ちに上場を廃止しなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかであると当取引所が認めるとき」は上場廃止になる、とある。

ルール通りに適用するとすれば、有価証券報告書を出せなければ即、上場廃止が決まる。だが、「不適正意見」が付いた有価証券報告書でも提出され、上場廃止はとりあえず免れる。「当取引所が認めるとき」という条件が付いており、「市場の秩序維持が困難かどうか」審査することになるからだ。

これまでも東芝は、上場廃止の基準に抵触している。まず最初が「有価証券報告書に虚偽記載を行った場合」。2015年に不正会計が発覚し、同年末には金融庁から「虚偽記載があった」と認定されて、課徴金をかけられた。

本来ならば、この一事をもって上場廃止になるはずだが、東証の上場廃止規定の虚偽記載についても、不適正意見同様、「直ちに上場を廃止しなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかであると当取引所が認めるとき」という一文が付いている。東証は東芝を上場させ続けたので、「秩序維持が困難」だとは判断しなかった、ということになる。

ただし、粉飾決算を起こさないような社内体制が整っているかをチェックするため、「特設注意市場銘柄」に指定した。通常は1年たって会社が報告書を出すと解除されるが、東芝の場合、別の不祥事が発覚し、さらに半年延期された。その期限が今年3月14日で切れ、現在は、東芝が提出した報告書を、東証が審査している最中だ。内部体制が整っていないと判断されれば、上場廃止になる。